第10話 冴えないデートへの向かいかた【加藤視点】
「デート、してみよう? 俺たち」
倫也くんは、わたしにむけてそう言った。本当に冴えないデートへの誘いかた、だ。同人ゲームの取材のために、デートに行こうなんて…… ロマンチックな要素のかけらもない。本当になんだかな~。
いつもの口癖をわたしは口の中でつぶやいた。
※
あのひとは、こう言った。わたしたちの新作ゲームは、メインヒロインが突き抜けていないからダメだって。
それはまるで、去年のわたしみたいだ。
金髪ツインテールの幼なじみヒロイン、黒髪ロングの先輩ヒロイン、いとこヒロインなどなど。
わたしは、あの魅力的なヒロインたちのなかで突き抜けられなかった……。まあ、普通に考えて、あの状況でわたしが戦えるわけないんだけどさ。
あのひとは人間的には嫌いだけど、本当に的確なことを言う。だからこそ、嫌いなんだけど……。
※
「うん~、いいよ~」
こんなロマンもない誘いだからこそ、わたしもいつものようにフラットに答えた。
でも、そこには若干フラットではない感情が含まれていて……。
そして、彼はいつものように、それには気がつかない様子だった。
本当になんだかな~
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