第10話 冴えないデートへの向かいかた【加藤視点】

「デート、してみよう? 俺たち」

 倫也くんは、わたしにむけてそう言った。本当に冴えないデートへの誘いかた、だ。同人ゲームの取材のために、デートに行こうなんて…… ロマンチックな要素のかけらもない。本当になんだかな~。


 いつもの口癖をわたしは口の中でつぶやいた。



 あのひとは、こう言った。わたしたちの新作ゲームは、メインヒロインが突き抜けていないからダメだって。


 それはまるで、去年のわたしみたいだ。

 金髪ツインテールの幼なじみヒロイン、黒髪ロングの先輩ヒロイン、いとこヒロインなどなど。

 わたしは、あの魅力的なヒロインたちのなかで突き抜けられなかった……。まあ、普通に考えて、あの状況でわたしが戦えるわけないんだけどさ。


 あのひとは人間的には嫌いだけど、本当に的確なことを言う。だからこそ、嫌いなんだけど……。



「うん~、いいよ~」

 こんなロマンもない誘いだからこそ、わたしもいつものようにフラットに答えた。


 でも、そこには若干フラットではない感情が含まれていて……。


 そして、彼はいつものように、それには気がつかない様子だった。


 本当になんだかな~

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