1月3日「アナタ、それ親の許可得てませんよね!?」
日記なのに2日目で更新サボったらしいですよ。
アナタ、それって日記じゃありませんよね?反論できませんよね??
うるせぇ僕は頭が不自由なんだ配慮しろ
―――――――――
2020年3月末12時30分 新千歳空港
『札幌方面の列車は不通です――…』
なんだそりゃ。
新千歳空港から出れねぇじゃねぇかよ?
「…帰りの便は20時か」
新千歳20時発、成田22時着。
つまり19時までには保安検査場を通過してなければならない。
組み上げておいた日程表を確認。
現在時刻:12時30分
12時45分 新千歳空港駅発
↓ 千歳線(破損)
13時20分 札幌駅着
13時40分 札幌駅発
↓ 学園都市線
14時20分 石狩当別駅
↓ >>札沼線<<
15時40分 浦臼駅折返し
↓ >>札沼線<<
17時00分 石狩当別駅
↓ 学園都市線
18時00分 札幌駅
↓ 千歳線
18時40分 新千歳空港駅着
19時 保安検査場
「おいおいおい我ながらなんでこんなクソきつい日程にしたんだよ」
でんちゃオタクくんだから後先を考えられず、衝動的に予定を組んでしまったのだ。(しかも親に黙って行ったので予定にバグが発生したら自己責任というのを考慮してこの有様である)
「多分無意識に自分のこと電車だと思ってたんだな。そのせいで旅行行程をさながら首都圏の過密ダイヤにしちゃったのかな。てぺぺろ」
てぺぺろじゃねぇよ。
おま、どうすんだよこれ現在進行系でバグが発生してんだよ。
「一応…このままあと7時間新千歳空港内で待ってれば帰りの便には間に合う、が」
最もローリスクな選択肢はここで7時間待つことではある。しかし。
1万7000円払って新千歳空港に7時間?
アホでしょ、選択肢としてありえんな。
僕は廃止直前の札沼線に1万7000円を賭けているのだ。
健常者であればここで踏みとどまったのかも知れない。
しかし、あいにく僕は鉄オタだ。
「とりあえず札幌出てから考えるんだな」
というわけで脳死で札幌出まーす。
だが頼みの千歳線は倒木で破損中。どうする?どうやって札幌行くよ?
新千歳空港内を多動していると高速バスを発見。
ギリギリで列に滑り込み、札幌駅前行きに乗車。
なおバスは遅いし運賃はクソ高い。挙げ句隣に座ってきたおっさんがマスクをせず咳をする。おいおいお前コロナじゃねぇだろうなとおびえつつ札幌へ。
列車で行くと30分強の行程をバスは80分。
13時40分に札幌駅を出る学園都市線に乗らなければ、札沼線の列車に接続できない。
「頼む!間に合え…、間に合え…!」
北広島で安定の渋滞。
挙げ句持っていった学校配給ノートPCの充電が切れる。なおスマホは両親から禁止されているので持っていない模様。
「あ、詰んだわ」
札幌到着は無慈悲の14時。二度とバスは使わん、くたばれ。
ついでに端末が死んだので親との連絡途絶。
「マジで詰んだよ…どうしよう」
________
千歳線
・新千歳空港→札幌
学園都市線
・札幌→石狩当別
札沼線(主役)
・石狩当別→石狩月形→浦臼→新十津川
(なお新十津川は列車が一日に一本しかないので元から断念。初期予定では浦臼まで行って折り返してくる予定であった)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
オタクくん、ここから大焦りで日程を組み直す模様。
端末が使えないので紙の時刻表を開く(持ってきててほんとよかった)
計算、計算、計算…。
「っし、こんなもんか?」
現在時刻:14時00分
14時20分 札幌駅発
↓ 学園都市線
15時00分 石狩当別駅着
16時00分 石狩当別駅発
↓ >>札沼線<<
16時30分 石狩月形駅
対向列車に乗り換え
↓ >>札沼線<<
17時00分 石狩当別駅
↓ 学園都市線
18時00分 札幌駅
↓ 千歳線(蘇生中)
18時40分 新千歳空港駅着
19時 保安検査場
「うーん、石狩当別で1時間も待つのかよ…」
列車?少ないんだよなぁ…なんたって廃止直前の路線。
というわけで、元の予定では15時40分には浦臼で悠々と折り返して戻ってくるハズが、16時にようやく石狩当別を出発できるというクソゲー。途中の石狩月形までしか行けず、そこで対向列車に乗り換えて戻ってくる暫定計画となった。
「クソ…浦臼に、浦臼までは行きたかったよぉおお……。」
血涙を流して悔しがる。地団駄踏みたい。
でもここは札駅改札ど真ん中。ここで暴れたら道警のお世話で一発で親電だ。
千歳線に倒れてきた木(とついでにバス)を僕は許さない。
「…待て」
と、ここでオタクくん、立てた暫定計画の欠陥に気づく。
18時00分 札幌駅
↓ 千歳線(蘇生中)
18時40分 石狩当別駅着
「アレ?千歳線って18時には流石に動くよな…。だって精々倒木だぞ?」
気を揉みながら修復状況を、札駅改札の女性駅員さんに教えて頂く。
「今業者が向かっている最中で、ここから倒木を撤去して架線を張り直すため…本日中に復旧できるかもわかりません」ということらしい。
あのさぁ…。えぇ…。
もしも千歳線が18時までに息を吹き返さない場合、帰路は例のバスだ。
片道80分。保安検査場の門限が19時なので、17時30分には札幌駅につかなければならない。
暫定行程に目を戻す。
16時30分 石狩月形駅
対向列車に乗り換え
↓ >>札沼線<<
17時00分 石狩当別駅
↓ 学園都市線
18時00分 札幌駅
>>越えられぬ30分<<
17時30分 札幌駅
↓ 高速バス
18時50分 新千歳空港
19時 保安検査場
「嘘だろお前…。」
時間が合わないぞ、これはもしや自民党の陰謀?
千歳線が18時までに復旧しない可能性が大いにあるなか、千歳線を使う想定で行かなければ、札沼線にはどう足掻いても乗れない。
全身から5G電波が溢れるような衝撃に立ちくらみ、膝を付く。
いや、公衆の面前だし膝はつかなかったけど、本当に軽く立ちくらみました。
「…どうするよ」
僕は帰りの航空券を握りしめる。
コイツに間に合わなければ、死だ。
足柄山に日帰りで行ってくると言った手前、本日中に帰らなければ帰らぬ人と誤解されて最悪の場合警察巻き込み案件だ。
中学生のうちに警察沙汰はマジで勘弁である(履歴的に)
しかし。
何円掛かった?
航空券で往復1万7000円が吹き飛び、札幌に出るのに渋滞バスに2000円を搾られた。札幌駅で3時間潰し、2万4000円を永遠の虚しさの中に捨てていくか?
バスを名乗る拷問装置に揺られ、絶望に跪き。
虚無と「神は死んだ」のフレーズとともに成田へ敗残者のごとく逃げ帰ってくるか?
僕は何に突き動かされた?
僕は何をしに来た?
僕は何だ?
「――…鉄オタだ。」
この機会を逃せば永遠に消える鉄路まで、あと一歩。
なら進むしかないだろう。あと二度とバスは使わん。
涙を拭い、学園都市線のホームへ上がる。
涙を振り切って、石狩当別行きの列車に乗る。
千歳線?んなの神に祈っとけ。
これは、俺カッケェ!盛りの中学生が、親と倫理観と計画的行動を振り切って遠い北の大地に賽を投げつけた実体験である。
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