幌別手記

占冠 愁

睦月

元旦

新年なので気分一新、始めてみようかなと

今をときめく10代・電車オタクの日常が綴られていくあんまおもしろくない何かです、見たい方はどぞー。

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令和3年元旦 鎌倉


8時頃起床

日付を見て愕然とする。

もう…2021年、だと??

思えば2020年はマジで何もしなかった。貴重な青春の一年を溝に捨ててしまった。


呪われた2020年。

春休みの3月末に、僕は廃止直前の札沼線に乗りに行く予定であった。

北海道医療大学駅から新十津川駅まで全長40km弱もの長大な線路が、そこに営まれた人々の暮らしが、85年間綴られてきた風景が、地上から永久に消える。

2020年5月7日に廃止が告知されていたこの、JR北海道・札沼線。


学園都市線という愛称で親しまれてきたこの路線、廃止区間だけは絶対に乗りに行かねばならんと決起して遥か2019年の12月から旅行計画を立てていた…のだが。



コロナ到来である。



1月のダイヤモンド・プリンセス号における武漢型は抑えきれたものの、3月初頭におそらくヨーロッパ方面からイタリア変異型が侵入。国内に急速な拡大を見せ始めたのだ。

北海道は大丈夫だ広いから大丈夫だ…、と自身を落ち着かせていたのも束の間、まさかの国内最初の感染爆発が北海道。


18きっぷ購入寸前で、親に旅行禁止命令を食らった。

3学期期末試験直前のことだった。


悔し泣きしましたね…、うん。

だって、二度と乗れないんだぞ?

鉄路は永遠に復活しないんだぞ?

この規模での運行路線廃止は、北海道最後だぞ?


親は「可哀想だし、日帰りなら山とか人混みのない場所へ行ってもいいよ」と。

それじゃ意味ねぇだろ。

山が消えるんじゃねぇんだよ。

鉄道が、その情景が、一つまるごと消えるんだぞ。


3ヶ月練り上げた旅行プランの紙をくしゃくしゃに握りしめた。



「諦められるか馬鹿野郎――。」



僕は、暗い決意に至った。

期末試験前夜のことだった。


"日帰りで足柄山に行く"と金太郎的なことを言って日帰りの承諾をもらう。

初電で日の出を見る、という名目で早朝出発の了承を得る。


即座に格安便をネットで調べ上げ、片道4500円、往復9000円で日帰りの成田新千歳往復のチケットを予約。

決して親バレしてはいけないのでクレジット決済ではなくコンビニ決済。

セブンに飛んで1万4000円を払う。

手数料5000円って半詐欺じゃない?と思いつつ予約確定。


期末試験を終わらせて、当日。


「親にバレずに日帰り北海道。やってやるぞこのヤロー…!」


5時起きで始発に飛び乗る。

羽田空港だったら近くてよろしいのだが、いかんせん高い。金欠の僕には成田便しか予約出来ないのでした。

1時間半近く爆走する走ルンですJR電車の中で寝て、成田空港。


飛ぶぞ。


保安を通過し7時半に航空機は成田を飛びたつ。

北海道へ、片道4500円。破格。

『春秋航空』(シェン・ジャオ・クヮン・グゥェ)

狭い。離陸時に羽根が上がらない。航空運輸安全規定違反?


落ちないか心配、ガタガタガタガタ!


揺れる

やばい

どうなっている


大丈夫、杞憂。


9時半、新千歳到着。

保安を抜けて新千歳空港駅へ。

新千歳空港駅に乗り入れているのはJR千歳線だけ。しかし、こいつを使えば40分で札幌へ出れる。後は札幌からJR学園都市線に乗って北海道医療大学駅に飛び、そこからお待ちかねの札沼線に乗ればいいだけだ。

なんというヌルゲー。


「っしゃぁ賭けは僕の勝ちだ……!!!」


舞い上がる僕。


そこに流れてくる、プラットホームの自動放送。




『―――札幌方面の列車は、運転を見合わせております……』


「…?」


『繰り返します。千歳線は、島松-北広島間での倒木の影響で、架線が切断。運転再開の見通しは経っておりません。札幌方面は列車不通となっております――』


「は??」


無慈悲に響く放送は、死刑宣告に等しいものだった。


どうするでんちゃオタク!!?




―――――――――

日記の使い方間違えてるってマジ?

というわけで僕の手記は正月しばらく、日記のふりをした2020年振り返りコーナーになりそうです。

なおノンフィクションです。体験記です。

こういうことしちゃうから電車オタクなんだよなぁ……。

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