襲撃事件の真相4
お互いにズンズンと歩み寄り、キスするんじゃねぇ?って位の至近距離でメンチを斬り合うユウナとアーガルド。
ブッチン!!…と何かがブチキレる音がした。
そして次の瞬間には、両者足を止めての激しい打ち合いに突入。
一撃でも入れば致命傷になりそうな重く速い剣撃が、容赦無く相手の急所めがけて振り下ろされる。
ガギドドガドドガドドガガガギンガガンガガ!ンガフフッッッ!!!!
まるで高速ジャンケンの『あいこ』が続くかのように、同じ軌道上で剣と剣が火花を散らし、殺し合いの剣舞を舞う二人。
わずか数センチの密着状態からのお互いの攻撃が、タツマキのように繰り出されては、打ち消しあい相殺されていく。
極限状態までハイになったプロボクサーたちが、極至近距離でパンチの応酬を紙一重で交わし合うように、今戦闘状態の二人の脳内には時間が極限まで圧縮されゆっくりと動いていた。
覚醒した脳は尋常では考えられないほどの処理速度で回転し、眼球が見た映像を瞬時に脳に伝達し刹那に肉体が反応する。
「フグンンッッッッッ!!!」
奥歯が割れそうなほど強く歯を食いしばり、連撃を繰り出すアーガルド。
その攻撃を真正面から細腕に握られたエクスカリバーで弾き返すユウナ。
パワーの差でアーガルドが優位に見えたが、息を止めての無酸素運動で先に息があがったのはアーガルドの方だった。
「ブッっっ!! ハァァアァッッ!! …ゼィゼィっっ!!!」
「にゃはっ♡ 隙ありっっ!!! 面メェーーーンンッッッ!!!!」
一瞬の隙を見逃さず、ユウナは叫び声と共にアーガルドの股間を容赦なく蹴り上げた。
「ングゥァッッッッッッ!!!!!」
目の前にお星様がいっぱい飛び散り、股間を抑えてもんどり打って倒れるアーガルド。
さっき胸に穴を開けられたよりも致命的なダメージが、アーガルドを襲った。
「あがぁっっ!? テ゛メェ!? ど、どこが『面』だ……嘘つき野郎っっ!!」
涙と鼻水で顔をデロデロにしながら、アーガルドが地面に転がりながらユウナを睨みつけた。
急所を蹴り上げられ、顔面蒼白でピクピクと痙攣しながらのたうち回る可哀想なアーガルド……。
内股ぎみに前かがみになり、男涙を流して激痛に耐える姿は、敵ながら同情を禁じ得なかった。
「はぁぁ〜? そんな蹴りやすい場所に、ンなもんブラ下げてるお前が悪い!!」
ユウナがエクスカリバーを肩にトントンと乗せながら、にししっ♡を笑った。
『破極乱陣騎士(やるっきゃ・ないと)っっっ!!!!!』
ユウナの頭上から影が降りたかと思った瞬間、一陣の風と共にサイファーの『破極乱陣騎士(やるっきゃ・ないと)』がユウナに打ち込まれた。
爽やかなシトラスの香りのするサイファーの愛剣から、魔力を帯びた波動がカマイタチのようにユウナ目掛けて襲いかかる。
「しゃぁっ (`·ω·´) !!」
ユウナがそれを猫のように間一髪で身をかわし、飛び込んできたサイファーの純白の剣身を漆黒のエクスカリバーで受け止める。
ガキーーーンッッ!!!!
二本の名刀のぶつかり合う、重々しい金属音が鳴り響く。
「やるな、勇者……」
無表情のまま、サイファーはそのまま力で押し切ろうと刀剣を押しやる。
ユウナも負けじと、サイファーの体を押し返すように剣に力を込めた。
ギリギリ… ガリギリ……。
ガッチリと組みあい、力比べの様相で押し合う二人。
激しいつばぜり合いは、両者の力が均衡しているようにみえた。
しかし……。
「アーガルドから一本取って、ご満悦のようだが……
私の年俸は3億2000万エン!!年俸1億6000万エンのアーガルドの倍だっ!!!」
「な……なにっっ!!?」
突然飛び出したリアルな数字に、ユウナは思わず驚愕の表情を浮かべる。
魔族の年俸は、『強さ』によって年俸が決まる。
つまり単純計算でいって、今シーズンのサイファーはアーガルドの2倍強い。
「そろそろ私の本気をお見せしようか……」
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