di;vine+sin;fonia ~デヴァイン・シンフォニア~/月ノ瀬 静流 タイトル編(1)

di;vine+sin;fonia ~デヴァイン・シンフォニア~/月ノ瀬 静流

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881135517



■タイトル編(1)


 どこから感想を始めるべきか、非常に困る作品でした。


 それは語りにくいからではなく、語りたい事が多すぎるからです。  

 と言うわけで、色々と参考にしようと他の方の感想を漁っていたのですが、そんな中でタイトルが鍵になるぞーというやり取りを見つけてしまいました。

 それがエグいくらいクリティカルに僕の脳天を突き刺してきたので、そこで得た発想を元に今回の感想を始めていきたいと思います。


 ・・・というわけで今回はタイトル編(1/2)予定です。



■妄想乙!と言われても僕はこう読みました


 僕が思うに、本作のタイトルとは、プログラムの名前だと思います。

 して、そのプログラムの中身とは「神が人間と融合する」みたいなものだと思います。


 現在更新されている物語の最後まで読んだ感想になりますが、登場人物達は「物語そのもの」に対して、思うように関与できないまま振り回され続けている印象を受けました。


 なぜならそれは、全ての人間の心情は計算されているため、登場人物達はその通りに動く他ないからだと推測します。誰が何のためにそのプログラムを実行したのか・・・というのは、話の流れからして七つの大罪の一人であり、既に作中世界から消えたように「見える」猫、主人公の母親が黒幕だと考えます。

 


■di;vine+sin;fonia ~デヴァイン・シンフォニア~


 このタイトルはまず二つに分けることができます。


・di;vine+sin;fonia 

・~デヴァイン・シンフォニア~


 なぜ二つに分ける必要があるのか。

 Divine Sinfoniaをそのまま受け取っても欲しいが、そのまま受け取って欲しくないという意図を感じるからです。

 そして、分けて考えた方が後で解釈をくっつけやすいからです。



■~デヴァイン・シンフォニア~


 まずは後ろの方から見ていきましょう。

 後ろのタイトルは単純に「・」で単語が区切られている所、カタカナで音を表記さしている所それから副題である事も加味して、そのままの意味を受け取ってくれという意思を感じるので読みやすいのです。


 デヴァイン=Divine は「神の」という意味を持つ英語の形容詞だと思います。

 ただ、直截的に「神の~」と訳すと不自然な訳になってしまうと思ったので、ここでは意訳して「神に捧げる」という風に解釈しようと思います。


 続いてシンフォニア=Sinfoniaですが、これはイタリア語です。意味としては合奏曲とかゴニャゴニャあるのですが、ここでは素直に交響曲でいいと思います。

 というわけで、デヴァイン・シンフォニアの意味は神に捧げる交響曲みたいな感じになるのかなと思います。

 

 が、ここで疑問点が浮上です。

 なぜ、英語とイタリア語の組み合わせなのでしょうか。単純に音の格好良さを狙っただけでしょうか。(英語ではSinfoniaはSymphonyになりますが、シンフォニーの「i」母音で閉じてしまうより、「a」母音で開いた音の方が開放感がある)


 という所で、前半のタイトルに戻ってみましょう。




■di;vine+sin;foniaの解体ショー


 本作のタイトルって色々不自然ですよね。


 まず、英字のタイトルですが大文字ではありません。そして、先ほども言ったように二種類の言語が用いられています。

 加えて単語と単語のつなぎめにスペースがなく、「+」記号が用いられ、一つの単語を分断するように「;」が挟まれています。

 

 さて、これらをどう解釈しようかという話になりますが、ここでキーになるのは有澤いつきさんの書評と、それに対する作者月ノ瀬 静流さんの応援コメントです。以下引用します。

 


*****************

ディヴァインって神の~とか、そういう意味だった気がするし、sinですよ。罪ですよ。神々の争いに巻き込まれてお前の罪を数えろ的な異世界ファンタジーかな、なんて妄想するじゃないですか。しない?

*****************

 ネタバレになるので、詳しくは言えませんが――と、いいますか、タイトルそのものがネタバレ……みたいなものです。


有澤いつき/宝物庫、あるいは書庫

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886754545/episodes/1177354054887016371

*****************



 そう、sinfoniaとは[sin];[fonia]なのです。

 というわけで僕の考えるdi;vine+sin;foniaの読み方ですが以下の通りになります。



di;vine+sin;fonia

→ di

  vine+sin ←ここが核

  fonia


 そして、イタリア語が使われている理由もここでわかりますよね。[sym]ではダメなんですよ。[sin]でなくてはならない。


 また、この分け方を採用する事によって、二つの記号の意味と大文字の謎が溶けました。プログラム言語で用いられる記号なのですよ、[;]と[+]は。

 本作のタイトルがプログラム言語の言語体系に則っているのであれば、文頭大文字の原則は崩れますし、単語と単語の間に記号を挟むくらい訳ない筈です。

 

 なんせ使用している言語の仕組みそのものが異なりますから。


 そして、ここが一番大事な事ですが、こう考えていくと作品のテーマ、主人公がクラッカーである事が大きな意味を持ってくるのです。

 また、本作のタイトルには実は続きがあり、作中ではディバインシンフォニア「計画」と書いて「プログラム」と呼ばれている事にも重大な意味が浮上してきます。



■セミコロン君とプラス記号ちゃん


 「 ;」なんですが、欧文で使われていた約物の一種で、これによって繋げられた分は前後の文脈によって順接と逆接の役割、それから列挙(イメージ的にはA;Bって書いてあったらA=Bみたいな)の意味合い、後は「,」を既に使っていてこれ以上記号使いたい時などに用いられます。


 そう、「;」は存在自体ひどく中途半端な存在なんです。なので今では殆ど使わない傾向にあります。どうとでも読める表現というのは伝わりにくいですからねー。


 というわけで、役割のなくなりつつあるセミコロン君は、現代ではプログラミング言語の文末表現で用いられる記号として使われる事になります。

 

 具体的には、コマンドの文末置く記号として、あるいコマンドとコマンド境目において、互いの影響範囲の指定をする記号として用いられます。

 

 そんなに頻繁に使われている記号なの? とイメージが湧かない方は先週号のジャンプをみてください。新連載の漫画のタイトルが[ne0;lation ]となっているはずです。そして漫画を読んでいくと主人公はクラッカーである事がわかりますよね。



 そうなれば、「+」もプログラミング言語で使われるのかなという話になりますよね。

 そして調べたら当然使われておりました。適当に調べたWikiの記述を参照すると、文字の連結にくっつける機能を持っているそうです。


 例えば「" a"+"b "="ab"」みたいなね。



■まとめ1


~ディバイン・シンフォニア~

=神に捧げる交響曲


di;vine+sin;fonia

→ di

  vine+sin ←ここが核

  fonia



 というわけで、一旦整理しようと思います。

 

 後半のカタカナ「ディバイン・シンフォニア」は[神に捧げる交響曲]を意味するだろうであること。

 前半の「di;vine+sin;fonia」はプログラミング言語で用いられる文章の使われ方をしており、そこから記号の意味推測をすると、「;」は文と文の境目に置かれる記号であること、「+」は文や単語を結合する機能がある事がわかりました。

 

 その結末として、vineはsin=罪とくっつくという可能性に至ることができたと思います。

 と言うわけで次の本題はsin=罪とは何かって話です。


■sinとは何か


 日本語だと、罪一つでいろんな事が説明できちゃうと思うんですよね。

 窃盗も人殺しも嘘をついたり騙したりもみんなジャンルとして「罪」に括っても文句言われないですよね。

 

 ところがどっこい、英語はそこら辺の使い分け方がもう少し敏感です。法を犯す犯罪は「crime」、人間が定めた規則を逸脱することは「offense」を用います。

 

 「sin」は神からの命令(divine law)から背く行為に対し、用いられます。その罪とは人間に等しく降りかかるものであり、例えばキリスト教においてはそれを原罪(original sin)と呼びます。

 

 そして作中に登場するsinとは新七つの大罪(Seven deadly sins)に他なりませんよね。

 

 この新七つの大罪は、2008年にバチカンが発表したもので、憤怒とか嫉妬みたいな、個人の感情に重きを置いたものというよりは個人の行動、あるいは社会全体で対応しなければいけない問題、もしくは人類が犯してはいけない領域そのものに対する警鐘というか行為に対して発表された声明みたいなものです。

 以下、簡単に記事から引用してみます。


*****************

バチカンの公式新聞「オッセルヴァトーレ・ロマーノ」に掲載されたところによると、今までの7つの大罪はやや個人主義的な側面があったため、これまでとは違う種類の大罪もあるということを信者たちに伝え、理解させるために新しい7つの大罪を発表したとのこと。


新しい7つの大罪は以下のようになっています。


・遺伝子改造

・人体実験

・環境汚染

・社会的不公正

・人を貧乏にさせる事

・鼻持ちならない程金持ちになる事

・麻薬中毒


Gigazine「バチカンが新しい「7つの大罪」を発表、リサイクルしない者は地獄行きに」

https://www.google.co.jp/amp/s/gigazine.net/amp/20080311_recycle_or_gotohell

*****************


 さて、そんな意味合いのsinがvineにくっつくのです。これはどういう意味を生むのでしょうか。


 ・・・という所で、僕の考察はストップしました。なぜなら、そうすると意味がよくわからなくなるからです。「vine」と聞くと今は亡き動画アプリが思いつく方がいらっしゃると思いますが、単純な意味合いとしてはブドウの木を指します。

 また、つた植物全般を指す時にも使われるようで、「vine tomato」で枝のあるトマト(枝付きトマト)という意味になります。


 つまり、ふつうに翻訳すると枝付きの罪みたいな感じになってしまいます。


 ・・・これはなんかイマイチですよね。


 無理矢理強引にニュアンスを汲み取って、罪を犯した人間共が神に寄生しまくるみたいなイメージでもいいのかもと思いましたが、そこまでいくと僕の強引さの方が前面に出すぎてしまうとおもいますので。ここでは棄却しようとおもいます。

 というわけで、



■まとめ2


✖︎

di;vine+sin;fonia

→ di

  vine+sin ←ここが核

  fonia


di;vine+sin;fonia

→ divine+sin ←ここが核 ;fonia


 にしようかなと思います。こっちの方が筋通るんですよね。

 今まで書いた事や法則からずれてしまうんですけど、書いたことは無駄ではないと思いますので、のちの考察者や未来の僕に任せます。


 本作のタイトルの鍵は明らかに神を意味するDivine と神によって命令された法律に背く行為=sinが結合していること。それがプログラミング言語っぽくかかれていること。

 そこがやっぱり大事だと思います。


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