第405話 龍崎仁

 エレベーターで一階へ上がる間、私はアキラの手を握りしめた。彼は優しく車椅子に乗った私の肩に手を置いた。暖かい。こんな気分は初めてだ。



 レイラの父親 龍崎 仁。写真でしか見た事がない。

 厳格で怖いイメージだ。



「大丈夫。レイラ様にはお優しい方です」

 アキラが励ますように囁いた。



「ン……」複雑な気分だ。



 言っとくが私はレイラじゃない。

 榊 ルナだ。

 

 自慢じゃないけど、ちいさい頃から他人ひとに愛された事がない。






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