第395話

 『カンパネラ』は、リストがおのれの技量をひけらかすために創った楽曲とも言われていた。


「早弾きすれば、するほど難易度が上がっていく…… 

 それよりも、この曲は……」


 そう、この曲は手の小さい女性には不向きな曲だ。ピアノは手の大きな方が有利な楽器だ。

 どうしても指が届かない。物理的な問題だ。

 天才リストだからこそ成し得た超絶技法だ。しかし……


「レイラは会得した……」

 桐山アキラは思い返すように言った。


 室内に『ラ・カンパネラ』の悲しげな調べが流れていった。


 レイラに出来たのならば……


 

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