第394話 『ラ・カンパネラ』

 地下施設で私はピアノの練習中だ。

 室内に『ラ・カンパネラ』の流麗な旋律が流れていた。レイラの演奏したモノだ。


 私は、譜面が読めないのでレイラの弾いた音源を頼りにコピーしていた。


「リストの『カンパネラ』は、超絶技法とも呼ばれる難関中の難関だ」

 ワケ知り顔でアキラが蘊蓄ウンチクを述べた。


「く……」私は桐山アキラを睨んだ。


 彼に言われなくても、そんな事はピアノをかじった初心者でも解っている。


 初っぱなの数小節さえ弾けず断念していくピアニストが星の数ほどいるだろう。


 『片手に六本の指を持つ男』と異名をとる天才ピアニストのリストだから出来た芸当マジックだ。


 まさに『魔法の域』と言って良い。

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