第385話 黒木

「ええ…、もちろんよ。他に何が、あるの」

 バカにしたように薄笑いを浮かべた。


「そ、そうですね…… 指紋か、DNA鑑定をすればよろしいかと……」


「フン、なるほど…… 少しは役に立つのね。黒木あなたでも」

「……」黒木は苦笑し、スッと視線を逸らせた。


「そう言えば、あの刑事…… レイラさんの事を何て言ってたかしら…、『さかい』だった……」

 ミラが家政婦らを見回した。家政婦らは無言で首を傾げた。


「榊です。榊 ルナ……」黒木が訂正した。


「あ、そうそう…、榊 ルナねェ……」

 途端に、舞香も目を輝かせた。


「じゃ、黒木❗❗ その榊ッて人を調べておいて……」

 ミラがアゴで命じた。

「は、ハイ、かしこまりました……」

 一礼し、黒木はリビングを後にした。


「……」家政婦の武藤サクラは眉をひそめた。

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