第373話

 おそらくレイラの演奏とは全然違うモノだろう。


 何しろ私は基本も何も習ってないのだから……


 私の思いのたけを……

 それだけを鍵盤に乗せて……


 私の『』。


 プアーな自分との……


 榊ルナとの決別。


 火傷やけどの痛みも忘れ演奏に没頭した。アッと言う間に時間が経っていく。


 ダァ~ーーン❗❗❗


 全てを弾き終わった。

 何とか……

 もってくれた私の腕が……



 重たい沈黙が流れた。

 矢作警部補らを振り向くのが怖い。


『ゴックン……』咽喉のどが鳴った。

 押し潰されそうになった瞬間、背後からパチパチと拍手が響いた。

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