第368話

「レイラお嬢様……」

 桐山アキラは心配そうに私を見た。静かに私は頷いた。やるしかない。


 今、出来る全身全霊を振り絞っても……

 私の真剣な眼差しにアキラも覚悟を決めたようだ。


「ふゥ~……」大きく息をつき、私の耳元で囁いた。

『いいんですねェ……』

 ああ…… 私は、また小さく頷いた。


 矢作のそして、義母、義姉の視線を感じた。部屋じゅうの注目を集めていた。


 桐山アキラは私をお姫様ダッコしピアノの前へ座らせた。


「ふゥ……」

 今まで見た事もないような豪華なピアノだ。無意識に心が躍った。

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