第359話

「ええ、実は榊ルナの父親は酷いヤツでして…… ギャンブル好きで競馬、競輪、競艇、パチンコと何でも手を出して……」

 親父アイツの事なんか聞きたくもない。

「……」

 思わず私は視線を逸らせた。


「ま、勝てばご機嫌なンでしょうが……

 負けると妻子を殴る蹴る……

 いわゆるDVッて、ヤツでして……」

 矢作は私の様子を伺いながら続けた。


「……」

 そんな話しはたくさんだ。

 耳を塞いで今すぐここから出ていきたい。


 だが、龍崎レイラには関係がない事だ。私はうつ向いて必死に堪えていた。

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