第353話

「ところで、焼身自殺をはかった男はご存じでしょうか」

 若い冨田刑事がテーブルに自殺した中年男性の顔写真を置いた。


「……」私は眉をひそめ小さく首を振った。

「ほォ~、ご存じありませんか……」

 矢作も残念そうだ。


「ええ、お嬢様は完全に焼身自殺の巻き添えですよ」

 代わりにアキラが応えた。


「なるほど…… ですが、向こうはお嬢様を狙って無理心中を決行したとも考えられますンでねェ……」

「……」無理心中……


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