第3話 美少女だねェ~💕💕

「おい、ルナ! 前から言ってあんだろう。

 今日のお客さんはセレブなんだからさ!!

 そんなにふくれてないでくれよ。

 ほら、坂道なんとかみてェに、可愛らしい顔でニコニコ笑えッて!!

 頼むから、さァ〜……」

 おもむろにオヤジが玄関までやって来て両手を合わし懇願した。



「ふン、坂道なんとかッて、アイドルか」

 また私は無愛想に、そっぽを向いた。


 面白くもねェのにアイドルみたいにヘラヘラ笑っていられるか。


 何がセレブだよ。


 見え見えだろう。

 金目当てッて言うのが……。



 しかし、ここまで低姿勢になるなんて、オヤジにしては珍しい。



 いつもふてぶてしい態度を取るのに。


 よっぽど今夜の客はセレブで上客なんだろう。




「ケッケケェ😆🎶✨ ほら、お前だって、スマホが欲しいって言ってただろォ~!!」

 親父は痛いトコをついてきた。



「あン…! 欲しいに決まってンだろォ~…❗❗ 学校で持ってねぇ~のはアタシだけ、なんだ!!」

 お陰で仲間外ハブにされて、スクールカーストは果てしなく底辺だ。




 さらに、DVオヤジに殴られてちいさい時から顔や身体はいつもアザだらけ……。




 恥ずかしくって、ロクに学校にも行けやしねェ~……。

 


 ま、元々、勉強は嫌いなんで学校へは給食を食べに行くだけだが。



 おそらく私が、まともに大きくなれたのは給食があったからだ。



 もちろんギャンブル狂の親父は給食費なんか、一銭も払っていない。


 担任は、とやかくうるさいが、そんなこと知ったことじゃない。



 こっちだって命が掛かっているんだ。


 

「ヘッへへ…、良いって、さかきちゃん!!

 しっかしルナちゃんは、噂以上の美少女だねェ~✨🤪✨💕💕」

 親父の連れらしき中年の眼鏡男が顔を見せ挨拶した。



 アニメヲタか、アイドルヲタか、知らないが気色悪い笑顔で私の身体を舐めるように見つめている。



 今にもヨダレを垂らしそうな勢いだ。




『ふゥ〜ン…😒💦』

 何処を見ているのか。


 虫酸むしずが走るほど嫌らしい目付きだ。




 この中年男性が、玄関にあった紳士靴の持ち主だろう。








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