『私に3分間、時間をください!』編
〔特別課捜査班!特子!〕『私に3分間、時間をください!』編
私の名前は、『
ひょんな事から…まあ、いいか。略!
「ガチャ!」
特子「おっはよう!ごっざい…まっ…す?…」
カチョー「お~、とくこ。おまえはいつもきれいでかわいいな…」
特子「なんなんですか?このどす黒い雰囲気は?自己紹介出来ないじゃないですか!」
コウ「自己紹介してる場合じゃないみたいですよ。」
特子「ん?あれ?…しーちゃん?どうしたの?また日本に来たの?
このところ毎回来てるじゃない?レギュラーの座を狙っているの?」
マイ「特ちゃん、そんな事言ってる場合じゃないのよ…」
ジミー「ああ、まさにニューヨーク市警と日本の警察を巻き込んだ、とんでもない事件になるかもな…」
特子「え?ジミーさんが早くも『マトモ』バージョン?一体何があったっていうの?」
ミル「あのね…特ちゃん…」
カチョー「待て、ミル。俺から話す…」
特子「ど、どうしたのよ?みんな…いつもみたいに、キャッキャッウフフ…」
「バン!」(カチョーが机を叩く音…)
カチョー「いいか、よく聞け特子…コイツはな、この村井将太はな…俺達を裏切りやがったんだ…」
特子「え!?………そ…そんなバカな…
う…うそよね?しーちゃん…?」
コウ「特さん…残念ですが、将太君本人が認めたんです…」
特子「し…しーちゃん?しーちゃんが…一体…何をしたっていうの?」
マイ「夜中に警視庁に忍び込んで、この部屋のカチョーの引き出しから、カチョーの大切な物を盗んだらしいの…」
特子「ほ、本当なの?しーちゃん?…」
将太「ああ、本当だ…僕が忍び込んで盗んだ…」
カチョー「バッカヤロー!」
「バキッ!」
「ドンガラガッシャ~ン!!」
カチョー「お前は何をしたのかわかってるのか!ニューヨーク市警に在籍しているお前が、日本の警視庁内で盗みを働くなんて、日本の警察にケンカを売ってるのと同じなんだぞ!!」
特子「ちょっと待って下さい、カチョー。」
カチョー「どうした?特子!まさか幼馴染みだからといって、そいつを
特子「フッ…まさか…いくら幼馴染みだからといって、犯罪を犯した者をそのままにしておく特子じゃないですよ。
ただね、無実の人間を犯罪者にするほど、私の正義は落ちぶれてもいないんですよ…フフフ…」
コウ「『無実の人間』?…」
マイ「え?なに?将太君は犯人じゃないの?」
将太「違う!僕なんだ!僕が盗んだんだ!!つ、つい魔が差して…」
カチョー「特子…何を根拠に将太が犯人じゃないというんだ?本人が認めているんだぞ?」
特子「フッ…他のみんなは騙せても、この私は騙せないわよ。
カチョー、思い出して下さい。しーちゃんに犯罪のイロハを叩き込んだのは、この私ですよ。」
コウ「それもどうかと思いますけど…」
特子「『刑事ごっこ』とはいえ、しーちゃんには、ありとあらゆるジャンルの犯罪者になってもらいました。もちろん大泥棒にもね。
その『引き出し』はカギが壊され、無理矢理こじ開けられてますよね?」
ミル「カチョーがカギをかけていたから、無理矢理開けたんじゃないかしら?」
特子「本当にしーちゃんが犯人なら、そんな事はしないんですよ。
私は『痕跡』だけは死んでも残すな。と口やかましくいい続けていたんです。
事前の徹底した下調べ、ピッキング、監視カメラの位置、これら全てのノウハウを修得しているしーちゃんが、こんな雑な盗み方をするはずがない。
今のしーちゃんなら、こんな引き出しのカギなら、なんの痕跡も残さずに10秒とかからずに開けてしまいますよ。」
コウ「そういえば、この建物全ての監視カメラに将太君が写ってます。まるで自分がここに居た事を証明するかのように。」
カチョー「どういう事だ?特子…」
特子「つまり、しーちゃんは誰かを庇って『犯人』になろうとしている!その誰かとは!その『誰か』が真犯人なんです!」
カチョー「本当なのか?将太…」
将太「ち、違う!僕だ!僕が犯人なんだ!カチョー!は、早く…早く僕を捕まえて下さい!」
特子「カチョー、私に3分間、時間をくれませんか?」
マイ「あ!そのセリフは!」
ミル「確か、ちょっと変わった刑事が、事件の真相に迫る時に言う『決め台詞』!」
特子「貴方は昨夜、警視庁に忍び込む『ある人物』を見てしまった。そうですよね?」
コウ「口調まで…」
将太「………………。」
特子「その人物は、将太さんにとって、とても大切な人だった…例え、アメリカ、日本の警察全体を敵に回しても守りたいほどの…
そして、将太さんは見てしまった!その人物が、カチョーの引き出しから『何か』を盗むのを…
その真犯人は監視カメラの位置を把握し、完璧なピッキングで引き出しを開けた。」
カチョー「それじゃ、完全犯罪じゃね~か、庇う必要性が…」
特子「しかし…運悪く、見回りの警備員がきてしまった。慌てた犯人は、何らかの痕跡を残してしまった。それが見つかれば、犯人特定に至ってしまう何かを…
だから、将太さんはその痕跡を消そうと、わざと引き出しのカギを上から下まで全部壊し、『何か』を探して盗んだように見せ掛け、さらに警視庁に進入したのは自分だと示すように、監視カメラに写って回ったんだと思います。そして、自首をする。自分が犯人だと…
そうですよね?将太さん。もしかしたら、まだ持っているんじゃないですか?犯人が残した痕跡を…」
将太「…………。」
マイ「犯人が残した痕跡?」
特子「はい。もし犯人が何かを落として行ったのだとしたら、将太さんにとっては『大切な人』の物…簡単には捨てられないはず。もしかしたら今も持っているんじゃないかと…違いますか?将太さん。」
将太「…………。」
ミル「でも『プリン』の痕跡って?」
特子「プリン?…」
ジミー「ああ、カチョーが引き出しに隠していた、プリンが何者かに盗まれたんだ。」
特子「え~っと…カチョー!!」
カチョー「な、なんだ特子!いきなり大声なんか出して…」
特子「し~ちゃんが、ここまで腹をくくっているんです!その心意気をムダにするんですか!」
カチョー「お前、さっきと言ってる事が違…あ!まさか!お前!ジミー、マイ!将太の身体検査だ!まだその痕跡とやらを持っているかもしれん!」
ジミー、マイ「はい!」
ジミー「カチョー!将太君のポケットからこんな物が!」
コウ「プラスチックのスプーン?先が少し赤いですね?口紅?」
カチョー「それはプリンと一緒に置いてあったやつだ!」
コウ「DNA鑑定をすれば、誰の物か特定出来ますね。」
カチョー「特子、お前のDNAも取らせて貰うぞ。」
特子「なななななななぜ
し~ちゃん!なんでそんな物、大切に取ってんのよ!?」
将太「と~ちゃんが使ったスプーンだよ、捨てられるはずがないじゃないか!」
特子「カチョー!こいつ、ストーカーで取っ捕まえましょう!
だいたい、カチョーも悪いですよ!わざわざ冷蔵庫から出して、1番下の引き出しに隠すなんて!どんなに美味しいのか、気になるじゃないですか!」
カチョー「ん?お前、なんで1番下の引き出しにプリンがあったの知っているんだ?カギは全部壊れていたんだぞ?」
コウ「そういえば、特さん、カチョーに内緒で僕に引き出しのカギを作って欲しいっていうから、作って渡しましたよね?」
特子「あ…あれは、カチョーが休みの時とか、書類の提出を求められたら…」
カチョー「と~く~こ~…!!!」
特子「カチョー!!」
カチョー「…今度は何だ?…」
特子「最後に3分間だけ時間を下さい。」
カチョー「何をする気だ?」
特子「新しいプリンを買って来ます!!行くよ!し~ちゃん!」
将太「OK!と~ちゃん!しっかり捕まって!!」
カチョー「バ、バカ!ここは5階だって言ってる…」
ジミー「大丈夫だカチョー!下にワイヤーネットが張ってある!」
カチョー「まったく…アイツら帰って来たら説教だな。フフ。」
彼は『
56才、通称『カチョー』少し頭が薄くなってきてるが、なかなかダンディーなおじ様だ。時期『警視総監』の呼び声も高く、もしかしたら『総理大臣』になる人物かも。
ジミー「カチョー、なんだか嬉しそうだな?」
彼の名前は『
いつも窓際で、わざわざ折り曲げた電子煙草を吸ってるハードボイルド。課長代理の肩書きを持つ。いつもは無口だが、とても頼りになる、優しいお兄さん的存在だ。
コウ「あの2人、今『仕事中』ってわかっているのかな?」
コウ「ありません!」
マイ「カチョー、良かったですね。将太君が犯人じゃなくて。」
彼女?彼は『
警視庁初の女性課長誕生かと思われたが、カミングアウトによって、その快挙は失われた。
課長兼係長、39才。通称『マイ』私よりもの凄く綺麗!!
ミル「カチョーにとって、特ちゃんが『娘』なら、将太君は『息子』ってところかしらね。ウフフ。」
私以外では紅一点、本物の女性。彼女は『
この班では、『課長監査役』をしている。愛称は『ミル』さん。コスプレが趣味で、ジミーさんとは同期らしい。私の憧れ、絶世の美女!!」
将太「飛ばすぜ!と~ちゃん!」
幼馴染みの『
ニックネームは『サムライポリス』彼が現場に現れると『サムライショータイム』と大盛り上がりになるのだ。
特子「イヤッホ~!サムライショ~タイム!!」
おしまい
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