『紙とペンと飛べ!紙飛行機、私の想いを乗せて…』編


私の名前は『志賀内特子』警視庁唯一の『アルバイター』だ。



以下省略!



「ガチャ!」


カチョー「お!みんな早いな。」


コウ「『早い』じゃないですよ、カチョー…もう10時回ってるじゃないですか…」


カチョー「ちょっと本部長に呼び出しくらってな。なんでも国際指名手配犯が京東に来てるらしいんだ。一応警戒しておくようにの事だと。

あれ?特子はどうした?まだ来てないのか?」


マイ「あれ?カチョー知らなかったんですか?今日は特ちゃん、休みですよ。」


カチョー「いや、アイツのことだから、暇潰しに来てるのかと。」


コウ「今日は来ないんじゃないですか?なんでも取り溜めたアニメを全部見て、『秋野原』に買い物に行くって言ってましたから。」


ミル「なに?カチョー寂しいの?」


カチョー「バ、バカ!寂しくなんかね~よ!さあ!資料整理するぞ!」


ジミー「フフ、空が笑ってやがる。」



『特子の部屋』


「う、う~ん…、はぁ…、さすがに夜遠しぶっ遠しで見ると疲れるわ~…

後は『豹の門』から帰って見よっと。」



『秋野原』


ロイ「キョロキョロキョロ…」


特子「あれ?あの外人さん、どうしたんだろ?凄いキョロキョロしてる。

道に迷ったのかな?

困った外人さんも助ける!これも立派な警察官の仕事だよね。ビックリさせないように、優しく話し掛けないと…」


「チョン、チョン…」


特子「ヘイ!ユー!ホワット?(そこのあなた、どうかなされたのですか?)」


ロイ「!!(おい!きさま!そこで何してる!?)?…NO、NO~


特子「あれ?ビックリさせちゃったかな?よし、アイム、ジャパニーズポリスマン!ユー!ホワット、フロムジャパン?(私は日本の警察官ですよ~、何をしに日本に来られたのですか?)」


ロイ「!(警察官だ!日本に何しに来た!)?

S…Shightseeing…」


特子「『サイトーシング』??

あ!斉藤寝具店を探しているんだ。布団でも買いに来たのかな?

サイトーシングテンデスカ?(斉藤寝具店ですか?)」


ロイ「ten、DAYS?(10日?)NONO、three、DAYS(3日間)」


特子「え?!『スリです』って!?た、大変!すぐに警察に伝えないと!

ヘイ!!レッツゴー!ポリスボックス!(大変!早く警察に行きましょう)」


「グイグイ!!」


ロイ「!!(警察署に連行する!来い!)?

shit!ペッ!」


特子「え?シートとペン?あ~、紙とペンね。状況を書いて教えてくれるのね?ちょっと待っててね。」


「ギュ!グイグイグイグイ…」


特子「ちょ、ちょっと、どうしたの?そんなにしなくても、出すから出すから…

え?…こんな人気の無い路地に連れ込んで、一体何を…ハッ!ま、まさか…


「ドン!」


特子「こ、これが夢にまで見た『壁ドン!』このナイスガイ、私の優しさに惚れたな。

早口で何を言ってるのかわからないけど、この真剣な表情…、外国人はグイグイ来るって言ってたけど、本当になのね。

初体験は、もうちょっとロマンチックな場所がよかったけど、彼が我慢出来ないんじゃ仕方ないよね。

オーケー、オーケー、カモン!!」


「ビリッ!!!!」


「ギャッ!?」


「ドテッ…」



30分後…


特子「う、う~ん…?アイタタタタタ!あれ?ここは…?

たしか、ナイスガイと初体験しようとしたら、電気が体に走ったような気がして…

あのナイスガイは?

は!ま、まさか、可愛い私を外国に売り飛ばすきじゃ…

大変!なんとかカチョー達に知らせないと!

バッグ、バッグは?!あ!良かった、あった。


フッ、さすがの外国人ブローカーも、この『紙袋型バッグ』には気付かなかったみたいね。

一見ただの紙袋に見えるけど、防水加工されていて、強度は抜群、袋の中身は『牛乳パック型小物入れ』、『お菓子の袋型ポーチ』、『ニンジン型のボールペン』、極めつけは『フランスパン型スマホケース(充電器内臓)』

どこからどう見ても、買い物帰りのマダムよね。

フッ、外国人ブローカーも大した事ないわね。

しーちゃんなら、こんなヘマはしないわね。刑事ごっこで犯罪者を徹底的に叩き込んであげたから、しーちゃんなら、たとえ『紙袋』だろうが取り上げて、処分するはずだもの。そういえばしーちゃん元気にしてるかな?この間『キモい』って言ったの悪かったな…今度会ったら、謝らなくちゃ。

とりあえず、どうにかして知らせないと…スマホ、スマホっと、あれ?圏外??なんで?!

ここは何処なの~?

ビルの中かしら…かなり高そう、家具も何も無い、殺風景な部屋…窓は開かない、頑丈で割れそうにもない…京東タワーが見えるということは都内だよね…部屋の上に小窓が開いてるけど、届かないな~。

どうしよう?紙とペンはあるけど、何を書いたら…ここから見える風景?ダメダメ!そんなの書けるわけないじゃん!そ、そうだ写真、圏外でも写真は撮れるはず、写真を撮ってメモリーカードを紙に包んであの窓から外に出せば…


だ、ダメだわ…包んだだけじゃあの窓まで届かない…でも、くしゃくしゃに丸めて投げたとして、うまく外に出たとしても、ただのゴミ…わざわざ開いて読んでくれるはずが…それに、もし下にナイスガイの仲間が居たら…何かいい手は…」


その時!特子は空の上を飛んでいる飛行機を見つけた!


「ん?飛行機?はぁ…飛行機みたいに飛んでくれならなぁ~。

そ!そうか!飛行機!紙飛行機にすればいいんだ。マイクロメモリーなら軽いし邪魔にならないはず。羽根に「警視庁特別課捜査班に届けて」って書けば!

こう見えても、子供の頃は町内紙飛行機大会、滞空時間3分50秒の記録を持つ腕、上昇気流を捕まえればかなり遠くまで飛ぶはず…急がなくちゃ。」


3分後…


「出来た!お願い!私のこの想い、届けて!えい!!!


やった!外に出た!やったわ、うまく風に乗ってる。お願い…だれか気が付いて…



その30分程前…


コウ「カチョー!大変です!!」


カチョー「どうしたコウ、大声出して…」


コウ「と、特さんが誘拐されました!!」


カチョー「な!なんだと!?どういうことだ!」


コウ「暇潰しに、特さんを探して『秋野原』周辺の監視カメラを見ていたら、外国人の男と路地に連れ込まれる特さんを見つけて、そのまま見ていたら、黒い車が現れて、気絶した特さんを乗せて走って行ったんです!」


カチョー「なんで特子が?!コウ!車のナンバーはわかるか!?」


コウ「はい!今、『Nシステム』で追跡中です。」


マイ「特ちゃん…」


「ガチャ!」


翔太「と~ちゃんが誘拐されたって本当ですか!!?」


ミル「え?あれ?翔太君?」


カチョー「なんでお前がここに?…」


翔太「国際指名手配犯の『ロイ』を追いかけて来ていたんです。それよりと~ちゃんは!?」


カチョー「この男に連れて行かれたらしい…」


翔太「『ロイ』だ!指名手配の『オモ・ロイ』ですよ!なぜと~ちゃんを…可愛いから?」


コウ「ナイナイ…」


翔太「ハッ!…」


「ガラッ…」


ジミー「どうした!翔太?」


翔太はいきなり窓を開け、睨むような目で京東の街を見た。

その時!彼の目線の先に、フワフワと飛んでいる、白い物体が見えた!


翔太「敬志課長!あの建物は!?」


カチョー「ん?なんだありゃ?紙飛行機?いや、コンビニの袋だな。」


翔太「課長!違います!その奥の建物です!」


カチョー「コウ、わかるか?」


コウ「この建物ですね?こ、これは!」


ジミー「どうした!コウ?」


コウ「このビルは、推定暴力団『蒙伊井会もういいかい』所有のビルです!表向きは『花屋』ですが、裏では金のためならなんでもやる、『何でも屋』ですよ!」


翔太「と~ちゃんはあのビルに居る!」


カチョー「え!?なんでわかるんだ?」


翔太「感じるんです、と~ちゃんの気配を…匂いを…」


ミル「え~っと……」


翔太「昔、『刑事ごっこ』をしていたということは言いましたよね?

その時僕は、犯人役ばかりだったんです。と~ちゃんは、刑事になりきって僕を捕まえました。そのうち、「し~ちゃんは犯人になりきれてない!犯人を演じるんじゃなくて、犯人になるの!」

って、言われて、本気で犯人になり、と~ちゃんから逃げてました。そのうち、近付いてくる『と~ちゃん』の気配がわかるようになり、感じるようになったんです。

刑事になった今でも、犯人の行動、逃走ルートが手に取るようにわかるんです。刑事ごっこで、ありとあらゆる犯人をやらされましたから。」


コウ「カチョー、彼の言うことは本当みたいですよ。特さんはあのビルに居ます。」


マイ「なんでわかるの?」


コウ「前に「この部屋の備品がよく無くなる」ってミルさんに相談されていたんです。それで、ボールペンや鏡、消しゴムなどに小型発信器をしかけていたんですけどね。

ほとんどがあのビルに集中しています。」


カチョー「特子~!…」


コウ「容疑車両発見しました!あのビルの駐車場です!」


翔太「先に行きます!!」


カチョー「あ!バ、バカ!ここは5階だぞ!!」


マイ「あ~あ、飛び降りちゃった…」


ジミー「いや!ワイヤーが付いてやがる。」


ミル「さすがサムライポリス!」


カチョー「コウ!本部長に連絡!俺達も行くぞ!階段で!」


全員「はい!」



再び特子の居る部屋…


特子「紙飛行機…まだ飛んでるかな?お願い…私の想いを届けて…」


「ドンドンドンドン…」


翔太「と~ちゃん!と~ちゃん!無事か!!」


特子「?!し!し~ちゃん!?」


翔太「と~ちゃん!ドアから離れて!!」


「ドッガッ~ン!!!」


翔太「と~ちゃん!」


特子「し~ちゃん!!」


「ガシッ!!」


翔太「と~ちゃん、良かった無事で…」


特子「し~ちゃん…助けに来てくれたの?ありがとう…そ…それからゴメンね、この間「キモい」なんて言って。」


翔太「いいんだよ、そんなこと…」


特子「でも、よくこの場所がわかったね。も、もしかして届いたの?私の紙…想いが…風に乗って…」


翔太「そうだよ、と~ちゃん。と~ちゃんの髪の匂いが届いたんだ。」


特子「え?は?キモ!」


カチョー「特子!無事か!?」


特子「カチョー~!あの人キモい~!!」


コウ「特さん!持ち物検査をします!」


特子「え~!?嫌だ~!コウちゃんのスケベ~!!」


翔太「コウさん、あなたでしたか。と~ちゃんに発信器まで持たせて守ってくれている。と~ちゃんを幸せにしてやって下さい。

それじゃ、僕は帰ります。じゃあ、また!!」


カチョー「あ!バカ!ここは21階だぞ!!」


ジミー「今度は『フライングスーツ』!!」


マイ「イヤッホ~!サムライショータイム!!!」


カチョー「やれやれ、それじゃ、俺達も帰るか。階段で…」


特子「あれ?私の紙飛行機は…?」



その頃、特子の作った紙飛行機は、見事上昇気流に乗り、さらに偏西風を捕らえ、太平洋上空を順調に飛んでいた。



おしまい



カチョー「特子!牛乳パック型小物入れ、没取!」


特子「え~!カチョーのイケズ~…」





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