間章 螺鈿 大学生ver再び
第二話
ふと目が覚めた。どうやら少しばかり寝ていたらしい。時計を見れば十五分ほど経っている。しばし微睡んでいると
「ごめんなさい。少し遅れました」
と、声が掛かった。声がした方を見れば綾巴が立っていた。
「久しぶり、何年ぶりだっけ。七年ぐらいかな」
螺鈿がそう声をかけると席に座った綾巴は
「そうね、らんが引っ越したのは確か小5の夏だから・・・六年半ぐらいね」
「そっか・・・・」
「・・・・」
会話が途切れてしまい沈黙が続く。久しぶりにあって話したいことが沢山あるはずなのになぜか言葉に詰まってしまう。
「ふふっ」
不意に綾巴が笑う。突然の笑いに疑問を乗せた眼差しを螺鈿が向けると
「いや、ちょっとね。手紙だとたくさん、しかもどんどん枚数が増えていったのにいざこうして会ってみると全然話せなくなっちゃってなんかおかしくなっちゃった」
そう言って笑う綾巴にあわせて螺鈿は会話をつなぐ
「確かにね。全然なにから話せばいいか分からないね」
ここで言葉が尽きてしまう。せっかく綾巴が会話を振ってくれたのだからせめてもう少し繋げたい。その一心でなんとか続けられそうな会話を見つけだす。
「文通のきっかけってなんだっけ。初めのほうは年賀状の交換ぐらいしかしてなかったよね」
馴れ初めを聞くという想い人にするにしてはふさわしくない言葉ではあったが綾巴は構わず乗ってくれた。
「えっと、確か一回らんが年賀状出さなかった年があってその時に暑中見舞いを送ってくれて、そこから始まったと思うよ」
「ああ、そうだ。俺たちが中学生になった年だよな。ちゃんと出してた方がいいはずなのに、結果論だけど出し損ねたおかげで文通してこうやってもう一度会えたんだからなんか不思議だね」
「もう、らんから年賀状が来なかったとき結構ショックだったんだからね。でも、あのときの文章はちょっと面白かったかな。なんか、こう必死に謝ってます!感が出てて」
「ちょ、ここでそれ持ち出す?いいよそんならこっちにだって色々あるもん。誤字シリーズとか」
「え、嘘。あたしそんなに誤字だらけだった?」
「うん、ひどいときは原形すら分からないときもあったからね」
・
・
・
こうして二人は再会した当初のぎこちなさを忘れ、思い出話に花を咲かせていった
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補足ですが間章を漢数字で、本編を算用数字で区別してます。もしかするとそのうちローマ数字なども使い始めます。ご了承ください。
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