その4
最終的に、父は某企業に転職し、しばらくは東京にある分社に勤めていた。しかし、父が本社に行くことを望み、両親の会議の末に家族全員で京都に行くことが決まった。
引っ越しは夏休み中の七月十九日になり二学期からは京都の学校に通うことになった。
「引っ越すことになりました。二学期から若草には来ません」
ある日、いつものように放課後に螺鈿の家の近くのパンダ公園で遊んだ帰り道、螺鈿は一緒に遊んでいた綾巴とこまめに告げた。こまめは
「やったあ、これで清々する」
などと軽口で返してきたが、綾巴は
「残念」
と素直に惜しがってくれた。
なお、この日偶々居なかったさとしやもりけんには次の日に伝えた。
その後は総合の時間にお別れの会を担任の先生が開いてくれたりした。その時にクラスの皆からのメッセージを渡されたが、無欠席を貫いていた螺鈿の目の前で渡すための手紙の紙を配られてしまいネタバレしてしまっていたのだが。
そして終業式が終わり、どうせ転校するのだからしなくてもいいやともらったばっかりの夏休みの宿題をゴミ箱に放り投げ餞別の品(餞別とは本来旅に出る側が送られるものであるが便宜上そう表記する)を持ってさとしや綾巴などの友人の家に行き、別れの挨拶をしてそれを渡した。
七月十九日新幹線に乗って京都に向かった。そして、京都での暮らしが始まった。
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漸く、プロローグが終わりました。間章挟んで再来週から本編、文通を始めます。
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