白井京月・詩集

彷徨うロバート

体調が絶望的だ

存在するだけで楽しいなんて誰が言った

何をしても楽しくないぞ

何がやりたいのかもわからないぞ

方位磁石の針はくるくると回転し

羅針盤は用を足さない

集中せよ

休め

とりあえず行動だ

よく考えろ

計画を練りに練れ

計画にこだわるな

人は好き勝手なことを無責任に口にする

こんなロバートは見たことがない

目が死にかけだ

生命を感じない

目的、意味、価値

そんなものを無視するのがロバートではなかったのか

いったいどこで汚染されてしまったのか

懸命になり、夢中になり、熱中する

それは楽しさの源泉だ

しかし、生活の不安が集中力を奪う

どうしたロバート

お前はロバート劇場の支配人だ

過去とは消えるものだ

追いかけてはいけないものだ

過去も未来も存在しない

存在するのは現在という一瞬のみ

役に立たない羅針盤など捨てなさい

実行しないであろう計画など捨てなさい

まして夢など追いかけないように

軽くなれ

身も、心も、財布も、体重も

ロバートは道化に賭けた

ならば、どこまでも道化に賭けなさい

新しい世界へ

続・ロバート劇場の世界へ

すでに土から緑色の芽が出ている

もっと愛を

もっと水を

もっと光を

地球という惑星の一個の生物

その奇跡に素直に驚こう

きっと誰かが笑ってくれる