ロバート問題
ロバート問題。それは21世紀最大の数学的難題である。ロバート空間が消滅したとされる現在、ロバート帝国の再建にためにロバート将軍はロバート群島を拠点として、日々精力的に活動している。ロバート連合と呼ばれる企業群、すなわち、ロバート建設、ロバート交通、ロバート食品、ロバート通信、ロバート銀行などのロバート財閥は、新しい人類世界の建設に向けて知恵を絞り、汗を流しているのだ。
しかし、問題は言語にある。今の地球上の言語には語彙が不足しているのだとロバート博士は言う。つまり、少なくともこの4倍の語彙がなければ、ロバート問題は解けない。そのためロバート財団は優秀な人材を集めてロバート辞典の編纂いやいや開発に取り組んでいるところだ。
ロバート問題とは何か。それを知るにはまず、ロバート検定に合格しなければいけない。この検定は年に4回、ロバート学会の主催で行われる。受験料はロバート金貨4枚。これに合格すれば、ロバート時計が授与される。
ほかにもいろいろな特典がある。例えば、ロバート食堂を無料で利用できる。ここの名物はロバート冷麺とロバート饅頭だ。また、ロバート旅館の宿泊が無料になる。ここには有名なロバート温泉がある。ただ、間違ってもロバート浴場と呼んではならない。ロバート欲情と間違えられると官憲の介入を招くからだ。また、ロバート旅館では毎晩のようにロバート音頭による祭りがある。ここではロバート酒造特製の吟醸酒がふるまわれる。なお、ノンアルコールも用意されているので、アルコールが苦手でも心配する必要はない。
ロバート旅館はロバート山脈の麓にあり、周りにはロバート牧場が広がっている。そこにはロバート神父の教会もある。もっともロバート将軍は宗教を禁じているので、教会と言っても神のいない教会だ。それは建築芸術の一つであるとともに、ロバート神父もまた、ロバート劇団の役者に過ぎない。
ロバート群島はもともとロバート大陸という地球上の六大大陸の一つだったのだが、あの大爆発によって山は崩れ、地は裂け、あっという間に群島になった。都市は壊滅し、消滅した。その後の復興の様子は涙なくして語れない。ロバート群島に来る観光客はみなロバート霊園に行く。そこで、小さな声でロバート聖歌を歌う。海の見える断崖にある、この見放された喜びの黄色い丘で、人は空を見上げ、星を探すのである。
ロバート検定には受験資格がある。身長が3メートル以下であること。体重が300キロ以下であることなど、意味不明な条件が多数あるのだが、詳しくはロバート原則を参照していただきたい。
さて、ロバート検定に関する記述が長くなってしまったが、そもそもロバート問題とは何なのか。実はこの問題を知ることができるのは、ロバート検定に合格したロバート博士達だけなのだ。もちろん私はロバート検定に合格したロバート博士の一員だ。従って、ロバート問題とは何かを知っている。
しかし、実に残念なのだが、この問題を外部に漏らすことは、ロバート規定によって禁止されている。閉鎖的だと思われるかもしればいが、一歩間違うとロバート戦争が勃発するリスクがあるので、これは仕方のないことだ。
ロバート帝国が目指しているのは、外部に敵を作らない、ニュータイプの国家だ。外部とは地球上の国家に限定されない。地球外の生命体も含めて敵を作らないというのが基本方針である。そのためにロバート神話があり、ロバート条約がある。これらはロバート役場の俊英が、膨大なロバート調査と精緻なロバート分析から作成した黄金の文章だ。ロバート検定に合格したいならば、これらの文章は暗記していなければならなのは当然だろう。
ロバート問題には、さまざまな異聞がある。しかし、噂を信じてはいけないというのは歴史の教えるところだ。さあ、正義感に溢れた真のエリートたちよ、ロバート検定に挑戦しようではないか。そして、ロバート問題に取り組もうではないか。それはきっと、高貴で意義のある生き方となるだろう。
さあ、まずはロバート航空を利用して、ロバート群島に行き、ロバート博士に会おう。パスポートはいらない。言語能力はいる。もちろんロバート言語の。
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