お昼休みの告白2

 凛子は、結人のすぐそばに駆け寄った。結人は、うつむいたまま続けた。


「俺にそっくりなって言ったろ? 似てないんだよ。姉さん。似てるわけないんだよ。母さんの再婚相手の子供だもん。血が繋がってないんだ。他人なんだよ」

 少し強い口調でそう言った結人は、今にも泣きそうな顔に見えた。

「あの、良かったら詳しく教えてくれないかな?」

 凛子がおずおずと言うと、結人は弱々しい声で話し始めた。


「俺、母さんが再婚したんで転校してきたんだよ。もっと早く言ってくれりゃ、最初からこっちの高校受けたのに。ウチ、一昨年両親が離婚して苗字が変わったばっかりだったし、また苗字変わりましたってやるの、イヤだったんだよ。それで、その気になれば元の高校にも通えたけど、いろいろメンドくさくなって転校したの」

「転校のがメンドくさくねえ?」

 萌花がボソッと言うと、志穂が「シー!」と人差し指を立てた。

「まあ、俺のことはいいか。その母さんの再婚相手に俺より1コ上の娘がいて。それが俺の姉さん。義理だけど。だから、一応姉さんはいるんだよ」


「そんで?」

「え?」

「そんで、なんで、その話ウチらにわざわざ話しに来てくれたの?」

 心菜が聞くと、結人は青ざめた顔になり、震えた声で答えた。

「その、義理の姉さん。今、行方不明なんだ……」


「ちょっ……どういうこと?」

「詳しく話して!」

 凛子達四人は、ついに全員立ち上がって結人を取り囲んだ。

 結人は、今度は顔を真っ赤にして取り乱したが、凛子達はおかまいなしに詰め寄った。

「いや、えーと、だから、一週間ちょっと前から帰ってねえとかで。電話連絡ももう五日くらいねえって……そんなときにアンタらから姉さんいるかなんて聞かれたから、そっちこそ何か知ってんのかと思ったんだよ」

「もしかして……」


「未来人じゃなかったぁーーーー!」

 心菜がおでこをペチンと叩いて絶叫した。

「うん。ココちゃん。黙ってようか」

 志穂が容赦なく言った。

「あの、お義姉さんの名前は?」

 凛子は、口から心臓が飛び出しそうなほど高鳴る胸を、両手で押さえて、聞いた。結人はうつむいていた顔を、凛子の方に、まっすぐ向けた。

星宮佐南ほしみやさな

 その答えは、凛子の心を貫いて、世界を真っ暗にした。


 サナが。

 サナが、行方不明だった――!


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