第39話解放されしパンドラの匣~ラウンド3~

~これまでのあらすじ~

 コンテスト参加者がひしめく会議室で繰り広げられるピリオドと小鳥遊君の熱き戦い。

 ピリオド率いる制服エプロン派閥は自爆していく一方で、メイド喫茶を推す小鳥遊君は着実に準備を固めていっているわ。

 それにしても、あの本田柚希さんって人どこかで見たことあんのよねー。どこだったかしら?学校だっけ…?いえ、もうちょっとプライベートな所だった気がするわ…。最近になって凄く見かけるようになったような…。

 っていうか騒がしいわねっ!何でこんなに興奮してるの?!はぁ…高校生なんだから落ち着きなさいよ。┐(´д`)┌

 ああ、メイド喫茶に行ってまったりしたいわ…。



〇2ターン目前半の総計

小鳥遊(メイド喫茶推奨):HP7000

『文学少女本田柚希』☆☆

攻撃力500/守備力500

→特に備考なし


VS


ピリオド(制服エプロン推奨):HP4000

伏せカード×1



〇小鳥遊のターン(2ターン目)

 小鳥遊が何かしゃべっているが今はそれどころじゃない。

 壁を背にした今美少女と俺は密着している。大事なことなのでもう一度言おう。俺は今美少女に密着している。

 『お前のものは俺のもの』という名言があるように、美少女(見てくれだけはいいからな)五木佐奈の全てを俺は支配していた。

 彼女の甘い吐息は俺の手のひらにあたり、はちきれんばかりの胸は俺の胸にぶつかって程よい弾力を与えてくれている。俺の片足は居場所を見つけたかのように、彼女の脚の間から動こうとしない。

 そして、いつもやたらと毒舌な五木が大人しいから、変な気持ちも湧いてくるじゃないかっ!


『相棒いいご身分だな(笑)』そう言って現れたのは、もう一人の僕。


 もとはと言えばもう一人の僕のせいだろ?!


『まあ、それは否定しないけどな。いつも高飛車な女に反撃できて良かったじゃんか』

 

 確かに五木に一発お見舞いしたいとは思ってたさ…。けど、この状況は想定していなかったんだよ!


『それならちょうどいいじゃねぇか(笑)。ここでおっ始めれば、その場の勢いでいけるんじゃね?』


 どんなハードなプレイ期待してんだよ?!周りに人いんだぞ?!ってかそういう意味でいったんじゃねぇぇぇぇ!


『何をチキンなこと言ってるんだ相棒。見た感じ、この女嫌がっているようには思えないぜ?ここは一つ、男見せろよ相棒!応援してるぞ♪じゃあな』


 ちょまっ…


『もう一人の僕は退出しました』


 おいぃぃぃぃぃ!


 とまぁ、俺が内心悶々していると、五木がもごもごとしゃべり始めた。ズバズバ言う少女にしては珍しい。あ、俺のせいか。

「健太…さん…。苦しい…ですわ」

「わ、悪い。今どける」

 どうやら俺の手で圧迫しすぎたようだ。彼女の口を抑えていた手を一先ずどけることにした。

 必然、至近距離にいる俺の顔に、彼女の色っぽい息遣いがあたる。柔らかそうな桜色の唇から零れる吐息が俺の口の中に入ってきた時点で、俺の思考回路はオーバーヒートだ。

 頭がくらくらする。ヤバい。何かますます変な気分になってきたぞ。

 バランスを崩しかけた俺は、慌てて近場の壁に手を当てて自身の身体を支えようとする。

 すると、何でか五木はビクッと肩を硬直させる。何か小動物みたいな反応で嗜虐心が高まる。襲ってみたい。縛りたい。はぁはぁ。


 …はっ!いけないいけない。落ち着け俺。本当の俺は気高きナイトなはずだ。ステイクール。ステイクール。よし俺はナイトだ!

 そんな俺が彼女にどう映ったのか定かではないが、くりくりした瞳を大きく開きながら、小声で問うてくる。

「ど、どういう…おつもりですか?」

「俺も分からん。けど(俺の黒歴史を暴露しようとする)五木のこと考えたら何か身体が動いちまった」

「…ッ」

 何故だか五木は顔を赤らめながら俯く。外野が「口説き始めたぞ」やら「壁ドンやる人初めて見た」とか騒いでいるが今はどうでもいい。俺は己の欲望を抑えるのに忙しいのだ。

 彼女は一呼吸した後、若干ぎこちなく含み笑いを向けてきた。

「あら、あら…卑しい雄だこと。私で何を考えていたのかしら?」

 えっちぃことに決まってるじゃないですかっ!そりゃ、好きな女子でなくても、目の前の女子がこんなに艶やかだと悶々してきますよ!高校生男子なめんな!

 とは当然言えないので、とりあえず褒めとこう。

「いやぁ五木って超美人だよな。こんなにいい女ほっとく男の気持ちが分かんないわ」

「…あ、う」

 さっきから、五木の様子がおかしい。いつもなら、ぷくくと笑いながら俺をなぶってくるのに、今は顔を真っ赤にして下を向いたまま俺と視線を合わせようとしない。

 もしかして、熱でもあるのか?それなら、騎士道精神を持つ俺が保健室まで案内しよう。

「五木顔赤いけど大丈夫か?」

「あ、赤くなってなんかいません!」

 触れあっている胸からバクバクと心音が伝わってくる。心無しかさっきより鼓動が速くなっている。大変だ。一刻も速く保健室に行かなくては!

「いやいや、どう見ても真っ赤だぞ。保健室に行こう」

 そう言って五木の華奢な手を優しく掴む俺。

「ほ、保健室で私をど、どうするおつもりですか?」

 俺自身普通に看病するつもりだった。だが、シチュエーションがまずかった。エロゲなら必ずイベント発生の保健室、顔を赤らめるスタイル抜群な美少女、そして高校生男子たる俺。

 以上の3要素が相まって、これまで持ちこたえていた理性の弁がぶっ飛んだ。

 代わりに現れるは、溜まりに溜まったエロスの権化。

「保健室でやることと言ったら一つだろ?一発お見舞いしてやるよ!」


 その瞬間、ざわざわした声が一斉に静まりかえった。同時に、俺の視界に映る美少女が唐突にいなくなり、茶色い床が視界を埋めた。ミステリー!


 わー!床がひんやりして気持ちいいや。そんなことを一瞬思った後、意識が刈り取られた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

パラメーターEの俺がレベル100の彼女をゲットするまで 桜井 空 @11921230

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ