第38話鎮まれ!!もう1人の僕!!~ラウンド2~
舞台は会議室。今まさに、男たちは自分の守るべきもののために矛をとらんとしていた。
〇1ターン目の総計
小鳥遊(メイド喫茶推奨):HP7000
『文学少女本田柚希』☆☆
攻撃力500/守備力500
→特に備考なし
VS
ピリオド(制服エプロン推奨):HP8000
伏せカード×1
ラウンド2開始のゴングが鳴る。
〇ピリオド(山田)のターン(2ターン目)
神崎は相変わらず本田柚希を凝視している。一方、俺は没個性少女に興味を持つわけでもなく、次のカードに手を伸ばす。
「アハッハッハッ」
引いたカードを眺めた瞬間、腹の底から愉快な気持ちが込み上げてくる。
突如笑いだす俺に対しておぞましいものを見るかのような冷ややかな視線。だが、そんな視線さえ気にはならなかった。このカードを引いた時点で、俺の勝利は約束されたからだ。
「俺は、『変換超人相田』を召還!」
一世代前のオタクみたいな風貌の相田は俺の前に立つと、堂々と宣言する。
「さぁ、好きなだけなじっておくれ!その分だけ僕は強くなれる!」
ピコーン
『変換超人相田』☆☆☆☆
攻撃力0/守備力10000
→ダメージを受けた分だけこのカードの守備力を削る。その後に、削った分×2の分だけ攻撃力を上昇させる。ただし、ダメージを一度も受けなかったターンには、自動的に墓地に送られる。
どうだ?五木?これがお前対策に俺が見つけた最高の攻撃。相手を言葉責めにして、相手が羞恥に悶える表情に快感を覚えるようなお前みたいなやつにとっては、まさに天敵に違いない。
さあ、相田を好きなだけ責めるがよい!ククク。
「アハハハハハハ」
俺の様子を心配してくれたのだろうか?対戦相手である小鳥遊がおずおずと問うてくる。
「山田君大丈夫かい?」
「いえ、もう既に手遅れですわ。健太さんはステータスを全て『変質者』に割り振っているため、もはやそうでない部分を探すことの方が難しいかと」
「待てぇいっ!俺は変質者なんかじゃないっ!」
何故だが俺への問いに違和感なく受け答えるは、ショートボブの美少女こと五木佐奈。
抗議する俺に対し、きょとんとした表情を見せる。
「あらあら。どうされたんですか?健太さん?事実から目を背けるだけでは何もはじまりませんよ?」
いやらしく含み笑いをする性悪女。笑顔を顔に張り付けて彼女に向き合う俺。
「五木は冗談が過ぎるなー。大体いつ俺が変質者みたいなことやったんだよ?変質者だというのなら、証拠を持ってきたまえ!証拠を!」
怒濤の台詞が効果を出したのであろう。押し黙る五木。勝った。ついに彼女に一泡ふかせることに成功したのだ。
「ハンカチ…」
…。一筋の汗が額をなぞって床に落ちる。
「『フローラル』…」
…。ぽたぽたと汗が2滴、3滴と零れ落ちる。うん…。部屋の温度が暑いからだよね?
「触手×百合の楽園…」
…。ダラダラに汗が顔中に広がる。さっきから悪魔の囁きが聞こえるんですけど?!
「『俺が求めていたオアシスはここにあったのか』…」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ五木ぃぃぃぃぃぃぃ!」
今振り返ると、この時の俺は無我夢中であったのだろう…。五木の口からとめどなく出てくる俺の黒歴史をただ止めたい。ただそれだけだったはずだ…。
なのにだ…どうしてこうなった?!
五木を壁際に追いやり、あまつさえ左手で彼女の口元を抑えていた。更に、華奢な少女の2本の健脚の間に自分の片足を入れている。当然、至近距離になるわけで、まるでそこだけ重力がなくなったかのように水平に膨らんだ少女のたわわなものが、俺の胸にぶつかる。
彼女のぷるりとした唇が触れている手のひらには、どちらのものか分からないしっとりとした快感が広がっているのは言うまでもなく。
俺の理性を悉く破壊していく制服の上からでも分かる膨らみ。五木の両足に挟まれている足からは、喜びの悲鳴が轟いている。
そして、いつも上手をとられている美少女の口を塞ぐというのは、支配関係が逆転したかのような背徳的なエロスを感じざるを得ない。
最初は驚きのためか目を丸くし身体中を緊張させていた五木だった。が、何かを悟ると次第に抵抗力が弱まり、身体の緊張が解けていくのが分かる。
頬を若干赤らめながら、しかしだからといって羞恥や怒りといった感情を示すことなく、長い睫毛がかかった綺麗な瞳は、何かを期待するかのように俺を覗き込む。
アカン…。これアカンやつや…。
鎮まれもう一人の僕!!!
それでも、自分のポジションを客観視できるようになった時点で時すでに遅し。
以上の光景を見た観衆の反応はどうだろう?
レッツシンキングタイム♪
皆分かったかなぁー?
正解は…
「ピリオド君って結構大胆だったりぃ?!きゃーっ」
「何イチャイチャしてんだよ!爆発しろ!」
「五木様今あの殿方のこと、お名前で呼んでいましてよ」
「許すまじ許すまじ許すまじ許すまじ」
「私聞いたことありますわ。五木様はなんでもあの冴えない殿方と親しくしていると」
「せーんぱぁい♪後でゆっくりお話しましょうね?!二人きりで♪」
「あいつ後輩の女の子まで手を出してんのかよ?男の風上にも置けねぇ野郎だ!オレと代われ」
カオスである。
『山田のHPは4000ダウン』
『相田は墓地に行った』
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