死ぬべきは私だった
1
「おい
「自分で殺したなんて言えないでしょ」
そして
「それより君、なんで殺した人数を当てられたの?」
彼方は迷わずに答えた。
「人から聞いたんだ。ここに来る途中、噂を聞いてな。「木刀持った男がゾンビになった親を殺したらしい」と」
汰稀は自分手作りの木刀を手に持つ。
「こいつで判断したの? これ、ただの木の棒にも見えると思うけど」
「いや、よく出来ている」
「そりゃどうも」
木刀をしまい、ため息をつく。
「あの、二人はこれからどうするつもりなんですか?」
「俺ら? いや……。汰稀、どうするんだ?」
彰男は残っていた漬物を口に入れ、汰稀を見る。汰稀ラーメンのスープを飲む。
「特には決まってないね」
それを聞くと、彼方が汰稀の隣に座り言う。
「それでは、我々と共に行動しないか? 眼鏡の方はわからないが、お前はそれなりの戦力になるだろう」
おしぼりで丁寧に口を拭き、汰稀が答える。
「別にいいけど。……彼方達は何か、目的とかあるの?」
今度は少し考える。
「我々は、今回の事件の主犯を探しだす。それが目的だ」
彰男は再び驚く。
「主犯を……探す?」
店内は沈みかけの夕陽に照らされ、窓の外には丁度汰稀の髪と同じような色の海が広がっている。
その夜はラーメン屋で、避難客と共に夜を越した。
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