第178話 謙虚という意外な武器の話
旧2チャンネル(現5チャンネル)の中でこんなものが合ったそうだ。
『発達障害であるが高学歴の自分が何で一般職につけず、受かったのは日雇いの段ボール運びなどばかり。世の中腐っている』
私はこの書き込みに傲慢さを感じた。
発達障害や脳が未発達状態(知的障害)などで自分のことを過大評価する人間は意外と多い。
だが、彼らは彼らの存在を許してきた親や教師に見守られてきた。
私の場合は、それらから《見捨てられてきた》。
いくら叫べど泣けど誰も助けてくれない。
そのうち、私は意固地になった。
――助けたくないのなら結構
その日から私は助ける全ての術を放り投げた。
誰とも遊ばない。
誰とも笑わない。
ただ、自分の世界を深く深く見ていった。
それを文字にした。
お話にした。
小説家を志した。
やがて、私は『発達障害』とそれに伴うPTSDという心の癖を持っていることを知る。
八年ほど過ぎ、壊れていた私のパーツたちがうまく組み合わさり就職でした。
俗に言う大手人材派遣会社の特例子会社という奴で今は六十人ほどが私を含め在籍している。
その中でやたらむやみに自慢したり不貞腐れた態度を堂々とする障碍者がいる。
『自分はそれでも十分通用するんだ』と思っているから厄介だ。
私には師匠がいるが、よく注意されることがある。
ついでに、私は二十代までは『普通の人』として生きていた。
だから、彼らの底の浅さがよく分かる。
彼らは気が付いていない。
実は人事の採用担当者などは、「人柄」を見ていると言われている。
逆に自分が面接官目線で自分を観察するのはどうだろうか?
愚痴ったり不貞腐れたりしている奴を採用しようと思うのだろうか?
健常者だって同じような態度を取れば不採用だ。
何年か『普通の人』として働いた経験のある人は、その苦労を知っている。
最初から『自分は障碍者』として生きてきた人間にはそれが分からない。
出身大学とかは実は二の次なのだ。
平等な世界とはもっとも差別をする世界である。
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