第170話 「前を向いて歩け!」と言われてもねぇ・・・

 虐めや失望などで生きる気力を無くしたものへ「前を向いて歩け」という漫画やドラマは多い。


 そういうことを言う主人公や作家の人間を私は疑う。


 彼らは彼らなりに言いたいこともあるだろうが、私は「っせーばか」と言いたい。


 私は「何故に被害者なのに加害者みたいなことを言われなきゃいけないのだろう?」とずっと謎だったし、今でも謎だ。


 これで私は心理的外傷を負うことになる。


 虐めに加担した人間はのうのうと生き、いい企業に入り、愛する者を得て、子供を産み育て……


 別段、私は独身のまま生きて死ぬのも覚悟というか、「まあ、しょうがないよね」と思うことはあるけど何か不公平感を感じる。


「いやいや、彼らだって因果応報を受けているかもしれないよ?」

 と言われても許せない者は許せない。


 二年ぐらい前か……


 私は仕事場で心が壊れた。


 今思い返せば、私は今と過去のギャップに苦しんでいたのだろう。


 かかりつけの病院の先生はこう言った。


「隅田さんの心は常に緊張状態で、その糸が切れたんだ。だから、隅田さん。一か月休みなさい」


 

 今、辛い人へ。


 前、なんて向かなくていいです。

 泣いていいです。

 誰かに罪や言い訳をこすりつけてもいいです。

 世間のせいでもいいです。

 政府や「あいつ」のせいでもいいです。

 

 殺したいほど憎みたい人もいるでしょう。

 自死を選びたいかもしれません。


 そんな人への最大の薬を教えましょう。


「寝なさい」

「一杯、それこそ、もやしでも飯だけでOKですが腹いっぱいにしてごろごろしてください」

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