第147話 そりゃ、負けるわ(YouTubeで見る戦争考)

 最近、YouTubeから『おすすめのコンテンツ』を勧められて時々見ている。


 昔、私が小学生中学年(小学校三年生から四年生)の頃、母がこんなことを言っていた。

「お母さんねぇ、天美と同じころに学校でディズニーのファンタジアを見たの。凄いアニメでね、作られたのが当時日本と戦争していた頃の作品だから余計に驚いちゃって『そりゃ、戦争に負けるな』って思ったわ」


――どれ、そのファンタジアを見てみよう


 その前に、比較対象としてた上の時間の前後はあるが、焼夷弾に対しての火の始末方法を案内したアニメがあったので、まずはそれを見た。


 当たり前だが、白黒アニメである。

 物資不足の中、節約のために繰り返しの動きが多い。

 絵も雑と言えば雑。(今観ての感想)

 声優も正直、芝居がかっている。

 音も割れることがあり雑音もある。


 で、ディズニー「ファンタジア」である。


「うん、そりゃ、負けるよ」


 フルカラーである。

 動きが滑らかで背景もかなり作り込まれている。

 台詞は一切ないが身振り手振りなどでいい演技をする。

 音楽も非常に壮大だ。


 書き込み欄を見ていると、先の日本の白黒アニメを作る際に当時のアニメーターらが集められて極秘にファンタジアを見た。

 その圧糖的な技術の高さに何人かは「このようなアニメは日本では作れません」と辞退したそうだ。


 日本は文字通り「欲しがりません、勝つまでは」と戦時中に犠牲を強いる。

 そして、それを美徳とする。

 

 私は、それがいいか悪いかは断言できないが、この「欲しがりません、勝つまでは」などのフレーズは今の、戦後七十年以上過ぎた今でも生きているように思う。


 ブラック企業しかり、高校野球しかり……


 今(令和四年十一月十五日)現在、日本は極度のデフレで人件費や物価高である。

 それでも、政府は、かつての軍部のように言う。


――欲しがりません、勝つまでは

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