第132話 拝啓 五歳児の時の私へ
私は自分が「安全だ」と思っている人と話すのは大好きな人間だ。
具体的には師匠などが、これに当たる。
子供の頃、酷い虐めにあっていた私は、同時に、喋り倒すことで自分に壁を作り「ここから先は入るな!」ともしていた。
では、相手から見て、私はなんだろう?
よく、仕事場の後輩君たちから「先輩の雑談は飛ぶことがあって自分たちの思考が追い付かない。仕事の話は理路整然としているので分かりやすいのに……」と言われ「そうか?」と私。
以前、私の精神内科の先生はこう言っていた。
「隅田さんの脳はずっと思考していて止まらないんだ。Aの次にB、それからCという結論に至るまで普通の人はABCというのに隅田さんはA、A´、A´2とか瞬時に出てしまう。今は薬とかでだいぶ落ち着いているけど、大変だったね」
そんな時、インターネット上である育児漫画を見た。
子育てもする働くパパから見た、子供の成長やトラブルなどを漫画にしたものでファンとは言わないが、記事があると必ず見ている。
五歳児の次男の話。
とにかく、よく喋る子で話題に一貫性がない。
だから、父親である主人公は怒ったり無力さに脱力したり、疲れてしまう。
――ああ、なるほど。私の喋りは五歳児と同じか
すとんっと納得いった。
『そりゃ、疲れるわな』
今の私しか知らない人から見たら驚きだろうが、私は子供の頃は人と付き合うのは嫌だった。
避けていたといってもいい。
親も含め、世界全員敵だった。
インターネットの普及で、そんな私にも師匠が出来て、オフ会などに参加するようになった。
ただ、好転を始めたのは極最近で、それまでは生き地獄だった。
本当に文学と音楽と、ネットが無かったら私は「無敵の人」として犯罪を犯していたかもしれない。
……だからさ、私の中にいる五歳児の私。
お疲れ様。
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