第123話 アカウントを停止させられたGさんへ捧ぐ

 私は、作家になりたいと思っている。

 子供のころからの夢だ。

 だから、多くの筆を折った人を見てきた。

 しかし、今回は様子が少し違う。

 今までのように原稿用紙に書かない。

 まるで、今まで黒電話だったのが、いきなりネットもできるスマフォが登場したようなものだ。


 黒電話はダイヤル式で戻るまで時間がかかる。

 そのため、その間に気分を鎮めることができる。

 今は文字通りに瞬時にLINEやFacebookで相手と連絡が取れる状態だ。


 同時に、今までは連絡帳などに連絡先が書いてあってトラブルがあっても仲直りしようと思えばできた。(まあ、この時代からも行き違いとかはあったけど)

 今は、自分の気持ち一つで、正確には指先一つで有名人と繋がったり、絶ったりする。

 

 さて、私の文章によく書き込みをしてくれたGさんという人がアカウント停止にされた。(垢バンというらしい)

 今までの書き込みも全て消されている。

 彼は常にテンプレートのライトノベルを厳しく断罪していた。

 最初のうちは「なるほどなぁ、そういう考えもあるか」と思っていたし、感心していた。

 だが、本人は気が付いたかどうかは分からないが、だんだん様子がおかしくなってきた。

 

 私は思いがあるのなら自分の言葉で語るほうがいいと思っている人間である。

 だから、URLを張り付けて『見ろ』というのには抵抗がある。

 それを自分の言葉に翻訳して書くのが本来の作家だったと思う。

 

 これは長い人生の中で私が体験して学んだことだが、『能ある鷹は爪を隠す』というが本当に凄い人は「俺は凄いんだぜぇ」と自慢しない。

 むしろ、遠ざける。

 自分の思いを分って欲しいというのはよくわかる。

 希望や夢を持つことはいいことである。

 でも、同時に絶望や現実を目の前にしたときの対処法も考えておかないと、その心の叫びはただの喚きになる。


 私に世の中を変える力があるのなら、物語で世界を変えたい。(まあ、大変ですけどねぇ)

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