第98話 育児漫画の闇
漫画が好きだ。
マイベストは『北斗の拳』だ。(暫定ベストである)
漫画の種類は多種多様だ。
「よい子の学習漫画」からアングラな漫画まで。
長く続く児童書もあればエロ漫画みたいに一発で終わるものもある。
その中に体験記ものがある。
文字通り、自らの体験を漫画にしたものだ。
そのジャンルもまた、細分化される。
職業ものあり旅行記あり……
その中で、私がどうしても嫌煙する漫画がある。
育児漫画である。
軽い明るい漫画ならいい。
ただ、納得いかないのは常に『自分は被害者で加害者には何をしても許される』と思い込んでいる事が分かる漫画だ。
私の考えは『人間において完全なる加害者もいなければ被害者もいない』と言うことだ。
人の価値観は常に変わっている。
昨日までもろ手を挙げて賞賛していた人物を自分の意に反することを一言言っただけで『敵』にする。
逆に執拗に敵視していた相手が自分と同じ意見だった場合、逆に大喜びをする。
私には、それは滑稽で悲しくて情けない情景に映った。
本題に戻そう。
育児漫画は私生活の切り売りであり、自分自身だけではなく周囲にも影響を与える。
――あの漫画に出てきた子は乱暴者だから付き合いをするのは止そう
――あそこの旦那は粘着質で変人だから近づかないようにしよう
――描いたお嫁さんもきっと私たちを悪く書くのだろう
自らの過ちに気が付いたときにはもう、遅い。
本人たちは「もう、過ぎた事」として書いているのかもしれない。
これは虐めでも言える。
「昔のことは忘れちまえよ」
これは被害者が言うべき言葉で加害者が言い訳がましく言う言葉ではない。
被害者は、一生、その傷を背負って生きていくのだ。
そして、傷は疼き痛み続ける。
正義は酒に似ている。
強い(過激)な酒は世の憂さを晴らすには最高だが飲み過ぎると病気になる。
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