第97話 様子がおかしいぞ

 最近、ネットの小説を読んでいて何とも言えない、胸のモヤモヤを感じる。

「お前、そういうのを文章に仕立てるのが小説家だろう?」などと言われそうなので少し、皆様のお時間を借りてモヤモヤを整理したい。


 しょっぱなからかなり失礼な質問をする。

「あなたは、本当に『いいね』や星を付けた作品を読んでいますか?」


 私は途中で読まれなくても、それは私の努力や研鑽が足りないためであると思っている。

 また、相手も人間なので多忙な人もいるだろう。

 だから、読者に対して「最後まで読め」とかは言わない。

 逆に私自身が、読者が最後まで楽しめるように努力すべきだと考える。

 ここまでなら自己完結で終わる。


 だが、私が古い脳みそをしているせいか、腑に落ちないことがある。

 それは『カクヨム』に限らない話ではあるけど、読者に対して無理強いに高評価を依頼して代わりに、その相手に対して今度は何らかの作品に星を付けると言うもの。

 いや、これは邪推だろう。

 そももそ私は管理者でもないからよくわからないけど、そうに決まっている。


 ただ、最近の若者(そういうことが言えるような年齢になった私)は承認欲求が強いが、その割に私たちの年代よりもかなり傷つきやすい。

 ネットの小説の中では『自分の作品を批判しないでください。アンチ厳禁』などということを書く人もいる。

 実際、ネット上で私も遭遇した。(『カクヨム』ではないけど)

 読者の反応を見た。

――面白いです

――○○(キャラクター名)好きです

 ……

 本当にそう思っているのだろうか?

 本当にそうだとすれば私の感覚とは乖離している。

 逆に嘘なら、正直、気持ち悪い。


 私は人生で、小説で、人付き合いで、様々に失敗をしてる。

 泣いたことも沢山ある。

 今だって『昔に戻れたなら……』と妄想することもある。

 ただ、これを逆手に捉えるのならば、その経験があるから『私』という個性オリジナリティーに繋がっている。

 そう、最近の『異世界』や『転生』『ざまぁ』系を読んでいるとほぼ一緒だ。

『自分の欲望を正当化して周囲を攻撃する』

 私にはこう見える。

 確かにこうなる下地として就職氷河期や長く続く不景気、極端に振れる思想(左翼・右翼)などもあるだろう。

 もっと書けば、(自分を正当化するかもしれないけど)個性とは模倣から始まる。

 これは、著名人も言っている。

 そこから、少しずつ自分のテーマに沿うように変えていく。

 

 別に私は努力崇拝者ではない。

 でも、二十年以上小説を書いていて思うことはある。

 いや、小説以外でも言えることだ。


『自分が本気を出して作品を書かなければ、誰も本気で読んでくれやしない』

『傷ついて泣いても死なない程度に悩めば、望んだ風景とは違うけど、絶景が待っている』(え? 「この台詞を言うのには、まだ若い」?)

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