第44話 光と闇のコントラスト

 勇者王と対対峙した私は四肢斬り鋏を抜き、勇王へ斬りかかった


「カキン!」

    「バラパラ、ガラ…」


 しかし金色に輝く炎の様な赤色のオリハルコンの剣に、鋏は難なく破壊されてしまう。牽制に直ぐに魔法を撃とうにもヤツの魔力反射の鎧に跳ね返されてしまうだろう


「せい!」

「あまい!」


 そこで私は直接勇王を狙わず、地面を地割れで粉々になるほどの魔力を流し込み剣の間合いから離れようとした


「スゥン…」


 しかしそれでも勇王の剣は私の首を深く斬り、ギリギリ切り落とされない程度の傷を負う、私は直ぐに回復させながら次の得物を取り出した


「せい!」


 私は魔獣の骨となどの生体パーツで組み上でて作ったハルバード生き、血を啜る物で応戦し、勇王の剣撃に対抗した。このハルバードなら多少破壊されようとも自己修復する


「つッ! っははは! どうした?もっと楽しもう勇者の王よ」


「まだ、お楽しみはこれからだ!前魔王!」


 私と勇王は割れる地面上を取っび移りながら互いの血を流す、魔法で飛ぶなど味気ない。・・・本気になればヤツも飛べそうではあるが、わざわざ相手が不利な状況で戦う必要もないだろう、戯れならば


「グキッ」


 何か柔らかい物を踏んでしまった。まるで首の骨があれるような音もしたが何だ?


「いや~、助かりました。まさか半殺しにされたまま放置されるなんて。あ、私も混ぜさせてもらいます我が死よ」


 どうやら先ほどの感触はバルディを踏み殺してしまっていたからのようだ。新たな身体で現れたバルディは怖気もせず私と勇王の間に入る


の一つでもあるのだろうな?」


「細かい事は良いので♪」


 バルディはアイアンメイデンを大砲の様に構え・・・


「では、まず強烈な一発をお見舞いしてやりましょうか我が死よ」


「ほう、やってみるか」


 ・・・魔力を貯め放つと同時に、彼の魔力に私の魔力で合わせ勇王に叩きつけてやった


「ブヲヲオオオン!」


「くッ! こやつ仲間を!?」


 魔力は勇王に当たり跳ね返ってたが


「跳ねない様に蓋をしませんと」


「な!?」


 バルディが勇王の前に立ち跳ね返った魔力を受け止め自爆し、その衝撃で勇王も傷を負う


「このような方法でッッ!!」


「ドン!」「ドン!」

   「ドン!」


 少し狩り過ぎたか? あちらフランチェスカの方も落ち着いたのかこちらに支援砲撃が飛んで来る。私が巻き込まれても良いと考える様な類のものだが


「貴様! 仲間に裏切られているのではないだろうな!?」


 その勇王の言葉は、事情を知らぬ者ならそう思っても仕方ない発言だろう。だがフランチェスカの狙いはシンプル


「ここだ!」

  「カン」「カン」「カンッ」


 私は砲弾の一つをビリヤードの様に突いて他の砲弾も弾き、勇王に命中させた。さすがにこの砲弾の軌道に直ぐには対応出来まい


「ちょこざいな!」


 勇王は砲弾の射線上に入らぬ様に私の懐まで入ってきたが


「後ろがお留守だぜ!」


 エルウッドが勇王の背後を取り斬りかかった


「ふん!」


 しかしエルウッドの剣が届くよりも先に、勇王が彼の兜を真っ二つにする


「パカッ」


 だが割れた兜の中にはさらに兜があった


「鎧の中に鎧を着こむだと!」


「贅沢だろ、どれも上等だぜ!」


 エルウッドは割れて落ちる兜を蹴り上げ勇王の顔に命中させた


「ゴン!」

   「くっ!」


 その隙に私たちは勇王から間合いを取り、他の者と合流する


「止めいくかバルト」


「更にとっておきの一発よ!」


「僕はいつでも」


「いくぞ!元勇者共!!」


「おう!」

「はいよ!」

「ええ!」


 エルウッドがまず勇王に組み付いき、鎧の隙間に手榴弾を差し込み爆発させ


「ドオン!」


 それからフランチェスカがラギ特製の弾丸を撃ち込んでオリハルコンの鎧に穴を開けた


「タンッ!」


 そしてバルディが勇王をアイアンメイデンの中に閉じ込め魔力が外に逃げないようにする


魔力転移ワープ・ショット…、狙い定めピンポイント塵よ爆ぜて塵に成れブロウアップ!」


 私が魔力をアイアンメイデンの中に転移させ攻撃した


「ボンッ」


 鈍い音の爆発と共にアイアンメイデンが壊れ、中の勇王が焼かれた、彼は地面を這いながら私を見据えながら一人呟いている


「まだだ!まだ終わっていない!」


「むッ!」


 勇王は起ち上りながら魔力を解放し、穴の開いた鎧は砕け散る。特大の魔力…覇気と呼んだ方がいいのだろうか? それが凄まじい衝撃となり辺りを被った


「うわ!?」

    「きゃ!」

   「なかなかいい火力です。ですがこころに響かな・・・ッッ」


 私はバルディを省く他の二人を結界で庇いながら、勇王に近づいて行った


「余は、勇者としてこの力を存分に振るおう! そして人類も貴様ら魔族から守ってみせる!」


 勇王の魔力で焼き払われた地面はガラス化し、鏡となって夜空を映している


「最後まで勇者の肩が気にすがるか? 愚かな。私は肩書などどうでもよい。余はただ私としての力を示したいのだ!」


 対する私の魔力の影響を受けた大地は腐り炭化し、光を隠す様に黒い塵となって舞い上がっていた。光と闇、互いの姿が周りに影響を与え称える様な光景だ


「行くぞ!魔王!」


 勇王が強く踏ん張ると地面が割れ、割れた鏡同士が互い星々を映し出し光を増幅させる


「魔王ではない!シュエル・バルトだ、たわけが!!」


 私が力を高めると黒い塵が強く舞い上がり砂嵐の様に光を隠す


「うおおおおお!」

「りゃああああ!」


 互いがぶつかり合うと、互いの魔力が反発し合い衝撃波が生まれ・・・


「せい!」


 ・・・勇王が一歩踏み込むと光が闇を侵食し・・・


「ふん!」


 ・・・私が踏み込むと闇を光が浸食する。戦いは拮抗していたのだが


「キンッ!」


 私が勇王の剣を叩き落とす事に成功し・・・


「これで、終いだ!」


 ・・・勇王の心臓にハルバートを突き立てると、勇王の魔力は消え、辺りは私の魔力により一瞬にして黒い砂漠となった


「これで終わりか・・・。はぁ…」

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