第41話 我ら新生魔王軍!
島にたどり着いたらなにやら妙な魔族に絡まれてしまった
「フハハハァ! 人間が財宝や武器弾薬を大量に隠し持っていると聞き、はるばるやって来たのは良いものを、扉すら開けらず立ち往生していたところに開けられそうな人間が自らやってくるとは、何たる幸運!」
ヤツの話に乗って、女勇者に軽口を言ってやったのだが、どうも反応が悪い
「わざわざ魔族が奪い取りに来るほどの宝か、随分と羽振りが良かったのだなフランチェスカ」
「いやぁ…、そうだけどそうじゃないと言うか」
「と言うと?」
「確かに価値はあるだろうけど、直ぐに足が付いたり、揉め事の火種になるような捌こうにも捌けない、ヤバ~イ物をしまっておくための物置だからねここ」
「ほう、つまり持っているだけで社会的地位が危うくなる代物をここに隠したと」
「そう言う事よ」
女勇者の話を聞き、この雑魚魔物はうんうんと勝手に頷く。馬鹿かこいつは
「ふむふむ! その様な者が隠してあるのか・・・。だが魔族には関係ないな! この私が有難く頂戴しよう! 自ら秘密を明かすとは愚かだな人間!」
「それはそうだが。貴様の様な雑魚が財を持っても他の者に奪われるのがオチでは無いのか? 弱肉強食が魔族の
「うっ!うるさい! 貴様に魔族の何が分かる!!!」
「全てだが?」
「なにが全てだ!傲慢なやつよ! すこし戦争しただけで全てをわかった気でいるな!!」
このやかましい話を聞いて聞いて、女勇者が話に入って来た
「うん、アンタら魔族軍が本気じゃなかった事はよく聞いてる。とういうよりアンタは誰?」
「この私が何事かと? ふん!聞いて驚け!! 私こそがこの新生魔王軍の長、ギャリアン様だ!!!」
「軍って…、アンタ一人じゃない、部下はどうしたのよ?」
「ふ…、我ら魔族を甘く見るな! 周りを見てみろ!!!」
言われて周りを見渡すが、特に変化はない
「見たけど・・・、なに?」
「我ら魔族が開かずの間の前で大人しくしていると本気で思うか! 部下はすぐに腹が満たせる周りの人間共を襲いに行ったわ!! しかし!直に命令を受けた私は動けず立ち往生よ!!」
「それ、威張って言う事?」
「ふん!そのおかげで今日!この場で!!今まさに!!! お宝を独り占めにする機会に恵まれたのだろうが!! 後悔は無い!!!」
「ねえ、今の魔王軍ってなんでこんな奴が指揮とってるのよ」
「下手に役職につくと私にもてあそばれる可能性があるからな。それなりの実力者は身を引いてしまっているのだろう。危険を冒しても地位を得たい愚物が現在の役職についてるのが実情だ」
「そこまで知ってるなら統治してやりなさいよ、魔族の元王様」
「つまらん奴の上に立つ気などない」
こそこそ話しているのが気に食わなかったのか、ギャリアンが我らの会話を邪魔してきた
「なにをごちゃごちゃ言っている!! さあ、私に財宝をわた・・・」
「ドン!」
いい加減、五月蠅いので銃を取り出し打ち抜いてやった
「触れるのも汚らわしい・・・」
しかしヤツは頭を吹き飛ばされても、むくりと立ち上がって文句を言ってきた。ゴキブリより汚らわしい
「貴様!! ちゃんと話を聞けぇ!!」
「その話が長い!」
「待て待て!何度撃とうと無駄・・・」
「なら何度でも撃っても問題ないな」
「ドン!」 「ドン!」 「ドン!」
何度撃ち抜いてバラバラになろうとうごめくおる・・・。もう魔法で吹き飛ばしてやろうか
「これが私の本気と思うなよ!!!」
「黙れ肉塊!」
「ふん!!」
ギャリアンの肉片が集まり、魔力が高まっていく。全力とやらを出す気か?
「バルト!船が!!」
「船なら先ほど壊れたであろ…。ん?」
女勇者に言われ海の方に目をやると、先程まで戦っていた海賊船の何隻かが動きを止めてしまっていた。まるで幽霊船だ、その止まった船の上に乗っていた人間も白骨化してしまっている
「フハハハハハ! 気づいたようだ!! 死者を操るのが私の能力! 無駄な力を使わなければ貴様などいくらでも八つ裂きにできるわ!!!」
「つまり、あの船に乗ってる連中は・・・」
「私が操っていた死体よ!とうに命などないわ!! あまりやり過ぎても人が寄り付かんのでな、
女勇者は殺気を放ち私にこう言った
「・・・・バルト、こいつは私に殺らせて」
「よかろう」
私は快諾し。女勇者の本気を出すのかと期待していると、その期待に応える様にギャリアンが吠えた
「さあ!わかったらさっさと財宝を渡せ!!」
「いいわ、開くわよ」
女勇者が指を鳴らすと、島の壁が崩れ扉が現れる
「おお!」
そしてその扉が開き、中から金銀財宝が雪崩の様に噴き出し、ギャリアンを包み込んだ
「む。むわ! これは!?」
「ようこそ私の宝島へ。聖遺物もあるから、それを抱いて擦り潰れて眠りなさい」
女勇者の自分の所有物を操る能力により、操られた財宝にギャリアンを磨り潰され命を落とした
「圧倒的物量による圧殺か。こういう思考も良いものだな」
女勇者を誉めても、彼女からは力の無い声で語り掛けてくるだけだ
「ねえバルト、あの酒場でさ」
「うむ」
「本当に死んだと思っていた奴らも居たんだけど。バルト気づいてた?」
そんなことか
「あまり深く考えるな。あのティーチと言う男と親しかったのだろう? もう一度話せてよかったではないか」
「そうね、私に海賊業を教えてくれた良い先生だったわ・・・。さあ、お宝回収しましょ!バルト」
そう言いながら女勇者は作り笑いをして振り向いた
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