第5話

後日、俺は正攻法で攻めてみた。


物件の管理会社に案内してもらい、見せてもらおうと連絡を、取る。


「おかけになった電話は現在使われておりません」


は?悪戯か?管理者らしき所片っ端から電話して全てこれである。

このざまだ。


「意味がわからん!」


うっかりプリペイド携帯をへし折る所だった。危ない危ない。

会社を立ち上げて危ない橋を渡って気もしたが、こんなことは初めてだ。

何かずっと気色悪いものがこびりついているような。


不吉


これがそういうことなのか?

わからない。

わからないと言えばこの近辺もだ。

生活感がない。作り物の町、とでもいうか何かおかしい。どう説明したらいいかわからないが何か引っかかる。

都市伝説的に謳われ、俺みたいな物見遊山も来ただろう、それなのに静かすぎる。いっそそれで村興し的なものもなく、近寄るなみたいな村八分感もない、相互に監視しているようなギスギスしたものもない。


初めからないかのような、違和感。


明るい内にと再び件の廃物件へ向かう。


どこにでもある潰れた店で買取手がないからそのまま。まさにそれだけ。


あれ?


玄関が開いている?

汚れが溜まり少し歪んでいるのか、ガリッと音がしてメリッとかメキッとか嫌な音を立てながら、入れる程に開いた入り口からリンボーダンスでもしているかのような動きで中に入る。


嫌にひんやり、重く、まとわりつく空気。タイルの割れから草が生えだし、

多少ひびもあるが支柱は問題なさそうだ。天井はカビて黒ずんでいる。

カウンターはそのままで物はないが、クモの巣だらけ。うっかり引っ掛かった羽虫が風に揺られている。


「まあ、ただの空き家、廃屋未満てとこだな。」

なんでこんなとこに噂が立つんだか。

何もない。そう結論がでて、帰ろうとした時、


ガツン!


ぅぇっ?


ガツン!


ヴっ!?


頭に何か衝撃がと思った時にはもう、吐き気と頭から血が引くような感じで膝から崩れ落ちた。

と、思う。

そこから記憶は残っていなかった。


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