第3話

いつからだろうか。

私が彼を愛せなくなったのは。


いつからだろうか。

私が私を愛せなくなったのは。


何も見えなくなった、そんな気分。


そうよね、たかだか商売女に本気でなんてあり得ないわ。

そう思っても、食べたらもどしてしまう。他の客に触れられると全身の皮膚がめくれるかのように逆立って便意を催して仕事にならない。


どうしたらいいんだろう。

幸い、貯えはまだ少しある。

この貯えと引き換えに彼と会えるなら、触れられるならと思う情けない私がいる。

無理なことは解っている。

だけど、だけど、だけど、だけど、だけど、だけど!

心と体が別に引き裂かれそう。


どうしたらいいんだろうて悩みに悩んだ。綺麗になろう、そうしたら、

鏡に映ったのは

むしられた頭、窪んだ目、ひきつったまま動かない口、痩けてまるでミイラそのもののような姿。


これじゃどこにもいけない。

彼にあえっこない。


あああああ!


気付いた時には駆け出していた。

彼を奪う女!あいつがいなければ!


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