第3話 戦争の理由

 果てしない荒野。日は高くまだ夕方までには時間がある。


 私は先ほどの兵隊が持っていたライフルを持たされた。ララは軽量タイプだと言っていたが私には重い。


「ララちゃん。銃は必要なの?」

「予備ノ武器ハ必要ダ」

「予備って。私も戦力なの?」

「ソウイウ事ダ。何ガアルカワカラナイカラナ」

「私、戦えない」

「ココハ戦場ダ。闘ッテ死ヌカ犯サレテ死ヌカダ。早ク脱出スル事ガ肝要ダ」

「そうだよね。私頑張るよ」

「ソウシテクレ」


 私はララの言葉に頷き歩き始める。

 

 ここは戦場。


 私は何故こんな所にいるのだろうか。いや、そもそも、何でこんな場所で戦争始めちゃってるんだろうか。そもそもここは何処なんだろう。

 

「ララちゃん聞いていいかな? ここは何処なの? 何で戦争しているの?」

「ココハ“惑星アラミス”、“シュヴァル共和国”ダ。以前ハ“アルマ帝国”ノ領土ダッタノダガ今ハ独立シテイル」

「うん」

「最近、数百年前ニ帝国ガ残シタ兵器ガ見ツカッタ。帝国ハソレヲ回収シニ来タノダガ、共和国ハ阻止シタ」

「それで戦争になったの?」

「ソウダ」

「その、戦争の原因となった兵器って何?」

「鋼鉄人形ロクセ・ファランクス。全長10mノ人型兵器ダ」

「それって強いの?」

「強イ。一機デ戦車一個大隊ニ相当スル」

「戦車一個大隊?」

「アア。50両位ダロウ」

「戦車50両に……」

「シカシ、誰ニデモ動カセル訳デハナイ。操縦デキルノハ特殊ナ技能ヲ持ツ“ドールマスター”ダケダ」

「ドールマスター?」

「ソウダ。帝国ニシカイナイ。共和国デハ運用不可能ナ兵器ダ」

「共和国はどうしてそんなものを欲しがるのかしら」

「ソレハワカラナイ。データノ一部ガ破損シテイル」

「ララちゃんも記憶喪失なの?」

「残念ダガソノヨウダナ」

「私と一緒だね」


 その時私は嬉しそうに微笑んでいたのだと思う。


 ララの表情はわからないのだけど、虹色に輝く顔のララちゃんは笑っていたにちがいない。

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