僕は聖夜に空を舞い/南総 和月
さて、このアンソロジーの企画を出した時期は十一月の下旬頃だったのだが、一ヶ月もあればがっつり十二月にかかってくる。実際、期限のあと数日もあればクリスマスという頃合いだった。
そんな時期にぴったりの一作がこれだ。別に小説の内容がクリスマスだろうがそうじゃなかろうが、作品として存在する限りいつ読んだっていい。だけどハロウィンにはハロウィンを題材にした小説を読みたくなるし、クリスマスを題材にした小説は、クリスマスの時期に世見たくなる。
あなたもそうなら、この一作を薦めよう。いつだってまだ次のクリスマスには時間があるのだから。
《僕は聖夜に空を舞い/南総 和月》
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887587834
主人公は探偵である。怪盗でも泥棒でもなければ、むしろ何かを解決する側だ。現実の探偵がどうかはともかく、少なくとも創作においては事件を解決するのが圧倒的だろう。だがその日持ち込まれた依頼は、「話題の宝石『雪の雫』を持ってきてほしい」というものだった。
こともあろうに「持ってきてほしい」――その依頼に魅せられた主人公は依頼を受け、展示されているはずの宝石を盗みに行くのだが……。
宝石を盗みに行くというれっきとした犯罪小説でもあるのだが、そのあたりを気にせずサクッと読めるのが良いところ。というのも、一人称であるという以上に主人公が地の文やカッコ内でツッコミを他人・自分問わず入れるので、コメディ調で進んでいくからだ。あまり気を張らずに読めるのもいいところだろう。
あまり言うとネタバレになってしまうのだが、最後の最後でタイトルの意味が変わってくるのがちょっとおかしくて笑ってしまった。
決行は聖夜。いや、正確にはイブか。
果たして主人公は雪の雫を盗み出せるのか。そして、雪の雫を持ってこさせた真意は……。もちろんお題も当然クリアしているので、ぜひとも結末は自分の目で確かめてほしい。
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