安楽寝台探偵『盗まれた宝石』/リスノー
安楽椅子探偵、という言葉をご存じだろうか。
書斎の安楽椅子に座ったまま推理する探偵――というような意味合いで、実際のところは安楽椅子限定ではない。部屋から出ることなく、話を聞いただけで事件を解決してしまう人物のことであり、この作品のようなベッド探偵も亜種のひとつだ。
さて、主人公である「探偵」のところに持ち込まれたのは、いったいどんな事件だったのか……。
《安楽寝台探偵『盗まれた宝石』/リスノー》
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887595996
この作品には二つの楽しみ方がある。
ひとつは小説として、純粋に読み物として楽しむこと。
もうひとつは推理クイズとして、回答編を見る前に一度立ち止まって考えてみることだ。
「探偵」のところに持ち込まれたのは、なんのことはない。病弱な妹を気にする健全な兄が、ミステリ研究会で出題された問題を持ってきただけである。物語はこの推理クイズを出しつつ、妹がそのクイズの正解を探っていく形式で続いていく。物語としてもあまり飽きさせない。
安楽椅子探偵は事実が確認できないという物語の構造上、普通のミステリよりも読者への説得力が重要になる。少なくとも私には説得力が抜群だった。
何しろ私も謎やら推理クイズは好きなのだが、こういう「人がぐるぐる回っていく」タイプの問題はすぐ混乱する。……目が回るので、即刻、回答編に飛びついてしまった……が、若干後悔している。これでは自分の頭の中から正解を引き出せたか永遠にわからなくなってしまった。どうかこれから読もうという人はぜひ挑戦してみてほしい。
それに、作中にちゃんと主人公によるメモはあるし、加えて館のイラストまでリンクが貼ってある。すごい。
見に行ったら他にも見取り図が出てきたので、単純にすごいなこの人と思ってしまった。まずい、考えすぎて完全に語彙が死んでいる。
一部のキャラを流用しているとのことだが、そちらを読まなくても単体で成立していた。これを読むために前作を読む必要は無いが、あえて前作からというのも一興だろう。
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