6 二人だけの秘密
その夜、ぼくは校舎の屋上で倫野あやめと二人きりで会う夢を見た。
「二人だけの秘密だよ」
倫野あやめがそう言って顔を寄せてくると、ぼくたちの唇がわずかに触れるのだ。
――そう、ぼくは夢を見たのだ。
倫野あやめはただのアイドルではなかった。本当にぼくに夢を与えてくれたのだ。
こんなことができるなんて、彼女は一体何者なんだろう。普通のアイドルにこんなことができるはずがなかった。
その翌日、ぼくは一日中倫野あやめのことを考えながら過ごした。午後には、授業を抜け出して校舎の屋上に出てみた。きっかけができたような気がしたし、お礼も言いたかったが、夢で見たように彼女に会うことはできなかった。
あとになって倫野あやめが学校を休んでいたことが分かった。噂では仕事が忙しいためしばらく休むことになったのだという。
ぼくは一日でも早く倫野あやめにまた会えることを願いながら、「夢を与える」を聴いて毎日を過ごした。
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