第15話 誰視点の誰主観か

 私は純文学好きだからだろうか、物語を読んでいて


「この物語、主人公はAになっているけれどきっと作者さんはBの主観でも書ける人、せっかくならB主観で書いて欲しかったなぁ」


 という小説に何度か出会った事がある。


 朝井リョウさんの『ままならいから私とあなた』とか

 古市憲寿さんの『平成くん、さようなら』などでは特にそう感じた。


 大抵は、主人公であるAは一般的な人物で考え方をする。

 そしてBは変わり者として見られがちな人物だ。


 作者さんがBの価値観や行動心理を分かる人ならば、B視点じゃないと勿体ないと思ってしまうのだ。


 だって、A視点、A主観の話なんて世の中にゴロゴロしているのだから。


 多分、小説って読者が主人公に共感しやすい方が受け入れられやすいから、A視点ばかりなんだろう。


 けれど村田沙耶香さんのコンビニ人間が芥川賞を受賞したぐらいなのだから、今は昔よりも多様化してきていると思う。


「へぇ、そんな考え方するんだ」


 というような、ちょっと変わった思考の主人公がいてもいいじゃないかと思う。


 後、飛鳥井千砂さんの書く小説のように、各章ごとに主人公が変わって、前の話では友達だった人が次の章では主役として、その人物の思っていた事が分かる、というような小説も好きだ。


 カクヨムでは、純文学で検索しても情景描写の多い作品や難しめの言葉の表現を使ってある作品が多くて、私が読みたいと思う人物の心理描写や感受性が描いてあるものがとても少ない。


 そういう作品があったら、教えてください。


 そして、ちょっと変わった考え方をする主人公主観の話があったら、そういう小説も読みたいなと思う。

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