第13話 読者寄せしなくていい

『読者が求めているジャンルや趣向に作者が寄せて書いていく』これは私はしなくていいんじゃないかと考えている。


 逆だとおもう。

 読者が作者の趣向を選ぶ。


 私はコンビニ人間で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんが大好きだ。

 村田さんは一部で『クレイジーさやか』と呼ばれている。


 それぐらいにぶっ飛んだ作品ばかり書いている方だ。


 村田さんがもし、もっと読者ウケの良い作品を書こうとしていたら村田さん独特の名作は生まれなかっただろうし、読者寄せしている割には面白くなかったかもしれない。


 人気のあるジャンルや読者ウケしそうな事を書いてウケたとしても、それは人気作品の猿真似っぽい事をしてウケただけかもしれない。


 作者の小説に関する技量が無いと、読者寄せでちょっと受け入れてもらえたような感じがしても、流行りが廃れば飽きられるだろう。


 本当に小説が好きな読者は作家追いしますよね。

 追われる作家さんはその作家さんの独特のものがありますよね。


 新堂冬樹さんというエンタメ系の作家さんがいるのですが、新堂さんのエログロと闇金の世界を描いた系統の小説をファンは『黒新堂』とそしてピュアで優しく感動する小説を『白新堂』と呼んで人気がありました。


 ですが最近の作品は昔ほど人気が無いのです。

 それは私の私的意見にもなるのですが、今までこういったものがウケてきたからとウケたジャンルを更にどキツくしてきた感があるのです。


 ですがそれが大して面白くない。

「こういう系統が読者にウケる」からと感じるのです。


 そうじゃなく、作者さんが書きたいものを読者はファンは読みたいのだと思います。


 素人であっても、『書きたいもの』を貫く事でその作者さんのオリジナリティに惹かれてファンになる人もいると思います。


 ただし、基本スキルは大事ですけどね。

 なので読者さんの求めるものに応える以上に、大事なのはその基本と文章や構成力、見せ方のレベル上げだと思うのです。

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