第6話 福井

 いかにもローカル線という電車は、左右に揺れながら、徐々に料金表を埋め、福井駅に着いた。

 駅前には、恐竜が堂々と立っていた。ここは、恐竜の街だ。博物館にはいかないけれども。

 しばらく浸っていた。だが、特急の時間が来てしまう。駅に戻り、越前そばを食べた。お店に流れる音楽が、ゆっくりと時を刻んでいた。

 そばを食べ終え、改札へ向かった。あと数日で自動改札になるらしく、布を被った自動改札機が無機質に並んでいた。ホームに上がると、敦賀行きの列車が止まっていた。この列車よりも先に発車する、最終のサンダーバードが、今回のる特急だ。福井駅のホームには、ドアの位置に恐竜の絵がある。これが可愛かった。やがて列車が入ってきた。サンダーバード大阪行き。終点、大阪へ向かう。

 ゆっくりと走り出した。しばらくして、湖西線に入った。本来なら、琵琶湖が見えるのだろう。夜で何も見えなかった。東海道本線と合流し、京都に着いた。特に何が見れるわけでもない。列車はこの後、高槻、新大阪に止まる。新大阪で新幹線に乗り換えれば早いのだが、すでに東京行きの最終列車は発車している。そのまま大阪駅に着いた。改札を出たが、駅構内のコンビニは、1店舗を残して営業終了。駅ビルに行くも、ほとんどのお店は、すでにラストオーダーが終わっていた。そして、明日臨時休業しますという旨の貼り紙があった。特にやることもないので、駅に戻る。ホームの待合室に入ると、テレビが付いていた。日付が変わった。今日昼にかけて、台風が接近、上陸する見込みで、と繰り返していた。しばらく休むことにした。

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