第9話 高校生2
「皆さんこんにちは自分です」
「今回は夏祭りの話ををしたいと思います」
「それで始まります楽しんで行ってください」
海に行った日、今年も夏祭り一緒に行こうと約束してから、数週間が経ち今日は夏祭り当日だ。
今年も近所の神社で夏祭りは行われる、もちろん花火もある。
近場なので、待ち合わせはいつも通り家の、前ということになっている。
今年こそ、彼女
「本当に、雪花何分前から待ってんの?」
そう眼鏡をかけ、前髪のサイドを伸ばし、後ろ髪を団子状に纏めている彼女に聞いた。
「ふふ、ナイショ! あなたじゃ一生かかってもわからないよ、だってあなた鈍感だもん」
少しバカにしているのか、表情は微笑んでいた。
すると雪花はそんなことより、というような表情で、前髪のサイドを弄りながら。
「どうかな今日の浴衣、似合って、るかな?」
黒色の浴衣にデザインはアサガオが入っている。
うんとても良い、色合いといいデザインといい、綺麗であり、少し天然というかドジというか、そんな雪花に似合っている。
それに中学の時は、気にならなかったが、雪花の
そんなことを考えていると、雪花が。
「ねぇどうなの? 項ばっか見てないで感想頂戴よ、あ、ちなみに項見ていた分でもう1個何か奢ってね。」
ええーと思いながら、でも項見れたし、項見て怒ってる雪花も見れたし、何か奢ればチャラなら安いもんだ。
「うん、奢るのは別にいいよそれより感想だよね」
奢るのはいいよと言った時、小声でやった、と聞こえた気がしたが無視する。
「うん、めちゃくちゃ似合ってると思うよ、色合いとデザイン、全部いい! それに可愛い!」
一昨年恥ずかしくて、言えなかったこと全部言ってやった。
「あ、ありがと! やっぱりあなたに可愛いって言われると、凄く嬉しいと同時に、凄く照れる」
頬赤くしながら、そんなことを言う雪花を見ていると、こっちも照れくさくなってきたので、話を切る。
「と、とりあえず神社向かお!」
そう言いながら、歩きだす、雪花は後ろを付いてきた。
神社に向かう途中、雪花に何を奢れば良いのか聞いた。
「今年は何を奢れば良いの? またわたあめと、たこ焼き?」
そう聞くと雪花は、またもや照れながら。
「こ、今年はね、わたあめはいらない、食べ物はたこ焼きだけでいい」
「そ、その代わりね、2つ私の言うこと聞いてほしいの!」
2つ、少し怖かったが、まぁ雪花になら何されてもいいしと思い返事をした。
「うん、いいよで何をしたらいいの?」
こんなあっさりいいよと、言うと思っていなかったのか、驚いた表情で、前髪のサイドを弄りながら。
「1つは神社に着いたら言うね、もう1つはね、い、今から家に帰るまで手を繋いでいてほしいの」
そんなこと何か変な権限使わなくても、頼んだらしてあげるのにと思いながら、手を伸ばす。
少しすると雪花も手を伸ばし、手のひらを重ね歩きだす。
それから少し歩き、神社に着くやいなや、たこ焼きの屋台を探す。
たこ焼きの屋台を見つけ、たこ焼きを買い、どこか座れる場所を探す。
すると、一昨年雪花と隣同士で座った場所を見つけ、すぐさま座る。
たこ焼きを食べている、雪花を見ながら和んでいると、突然つまようじをたこ焼きに刺し、自分の口元に近づけてくる。
「一昨年やった時は、これは、恋人同士がやるもんだしー、とか言ってたけど私たち今はもうれっきとした、恋人同士だし、堂々とできるよね」
なぜか笑顔でそう言う雪花に一応聞いてみる。
「これ間接キスってことになるけど大丈夫?」
そう聞くと雪花は。
「むしろしたいぐらいだし。」
一瞬下を向きながら、何かを言ったような気がしたが、聞き取れなかった。
「これがもう一つのお願い?」
これを聞いていなかった。
「違う、むしろしてあげるんだから、感謝してよ!」
これだけ頑固に言われると、恥ずかしい気持ちはどっかに行き、自然と口を開けていた。
雪花のアーンという声と同時に口の中にたこ焼きが入れられた。
それで終わりかと思っていたのだが、雪花の顔をみるともう一回と言わんばかりに、こちらを見ている。
しょうがないなと思いながら、口を開ける、次は声はなかったが、たこ焼きが近づいてくる。
口に入る直前、雪花が自分の耳元で。
「大好きだよ」
と囁きかけた。
こんなにも近くで、好きなんて言われたことがなかったので、思わず動揺してしまい、雪花から目をそらす。
雪花も照れているようでこちらから、目をそらす。
しばらくすると、動揺が収まり時間を見てみると、もうちょっとで花火が始まってしまう時間だった。
急がなくちゃと思い、雪花の腕を掴み、無理矢理もう一度手を繋いだ。
少しだけ歩き、花火がよく見える位置まで来た。
すると雪花が喋り出した。
「最後のお願いなんだけどね!」
前髪のサイドを弄りながら、こちらを見ている。
「ここでできることなのか?」
目を合わしてくれているのだから、こちらも目を合わせなければ、そう思いながら雪花の目を見ながら質問をした。
「うん、ここで、できる逆にここじゃないとできない」
「あのね、花火が始まったら、私が手を離すから、そしたらこっちを向いてほしいの」
「え? それだけでいいの?」
「うん、それだけ」
本当に恥ずかしいのか雪花は、右手で前髪のサイドを弄り、左手で胸元を隠し、頬を赤く染め、目線を外し、俯いている。
雪花がいつもやっている、照れ隠しを全て同時に見れたのは、奇跡かと思い、記憶の絶対忘れない所に記録した。
そんなことを考えていると、花火が始まった。
雪花が手を離したら、雪花の方を見ればいい、再確認して花火を見る。
しばらくすると、雪花の手が離れた、すぐさま雪花の方を見る、暗くて雪花がいるのかわからない。
すると、自分の両肩に手が乗り、何!? と一瞬びっくりするが、そのような驚きは一瞬で消し飛んだ。
両肩に乗った手で、体が雪花がいる方へと引き込まれる。
すると、自分の唇に何か柔らかなそして少し暖かいものが触れた。
その後タイミングを計っていたかのように花火が、ドーンと大きな音を立てて暗かった空中を明るくしてくれた。
明るくなった瞬間、自分は目を開いた、そこには、雪花の顔があった。
花火の明かりがなくなると、唇に触れていたものは離れていく。
もう一度花火が打ち上がり、辺りが明るくなる、雪花の方を見てみると、もう一度と言いたげに、上目遣いでこちら見ていた。
花火の明かりがなくなり辺りが暗くなったのを確認してから、少し雪花に近づき、ゆっくりと顔を近づけ、雪花の唇に、自分の唇を重ねた。
次の花火が打ち上がるまでの、5秒間ほど、唇を重ねあわせていた。
それから、花火を見ている最中も、帰り道でも自分と雪花は無言で帰っていった。
家の前に着くと、雪花が喋りだす。
「今日は楽しかったね、また来年行こう」
まだ照れているのか、こちらとは目を合わせてはいない。
かくゆう自分も動揺が収まらないの。
「そうだね」
としか返せなかった。
今日はもうこれで別れると思っていたのだが、雪花は続けて喋りだす。
「今回は全然できなかったけど、来年の夏祭りは、花火中ずっとキスしてよ!」
そんなこと言われると思わず、やっと収まり始めてた動揺もマックスまで、戻り顔熱くなってしまった。
雪花もそれは同様のようで、一目散に家に入っていった。
それを見て自分も走って家に帰っていく。
「皆さんどうでした?夏祭りの話」
「次はクリスマスの話です」
「それでは次の話でお会いしましょうさよならー」
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