第8話 高校生1
「皆さんこんにちは自分です」
「今回は2人で海に行く話です」
「それでは始まります楽しんで行ってください」
高校生の頃の記憶は中学生の時よりも鮮明に思いだせる。
あれは付き合い始めてが3カ月が経ち6月に入った頃、
「雪花、少し先の話だけど夏休み、海行かない?」
眼鏡をかけ、髪を肩ぐらいの長さにしている、雪花に話しかけた。
すると雪花は少し驚いたようで。
「う、うん別にいいよというか、私から誘おうかなとか、悩んでたぐらいだし」
それから雪花はなぜか、嬉しそうに。
「あなたから誘ってくれるって、珍しいね何で?」
少しバカにしてやろうかという気持ちも入っていたのだろうか、雪花の表情はニヤニヤしている。
「いや、まぁ、前に次は自分から誘うって、言っちゃったからね、それにちゃんと水着姿の雪花に可愛いって、言ってやりたいし」
頬を掻きながら言う。
すると雪花は驚きと照れが混ざったような表情で。
「そっか、それなら私も楽しみにしとく、それに一昨年より可愛い水着で行くからね!」
いい報告も聞けた、やっぱり自分から誘って良かった。
「まぁ後は、単純に雪花の水着姿を見たいってだけなんだけどね」
そんなことを言いながら、雪花の方を見ると。
頬を赤らめながら、眼鏡の奥にある目から睨んでいる、それに左手で胸元を隠している。
何で睨まれてるんだ? そんなことを考えていると、雪花が一言。
「エッチ」
そう言って先に歩き出してしまった。
こんな風な会話をしながら自分たちは家に帰って行った。
それから1カ月が経ち、2時間ほど電車に乗り、一昨年と同じ海に来た。
前回と同じで、更衣室から出た所で集合と約束して別れた。
雪花より先に着替えが終わり、自分は雪花を待っていた。
雪花もうすぐ出てくるかなと、辺りを見回すと、ちょうど出てきた所だった、雪花も自分を見つけたらしく走ってくる。
自分の前に着くやいなや、右手で左腕の二の腕を掴みながらちょうど胸元を隠している。
そんなポーズをとりながら、やはり照れているのか頬を赤らめながら。
「どうかな?」
雪花を見ていて、肝心の水着姿の雪花を見ていなかったことを思い出し、もう一度見始める。
水着の色は黒で上下ともにフリルが付いているビキニで、その上からパーカーを着ている。
とても似合っている、パーカーを着ているのも、雪花らしい気がする。
「めっちゃ可愛いよ! 一昨年より数段可愛くなってる気がする!」
何とか言葉にはできたと思いホッとしていると。
「あ、ありがと、そんなに良く言ってくれると、思ってなかったから、嬉しい」
髪を耳にかけながら、目線はこっちに向いている。
「本当はね、もっと露出してないのにしようとしてたんだけど、あなたが私の水着見たいって言ってたから、こんな感じのにして見たんだ」
「男の子はこういう露出多めなのが好きなんでしょ?」
そんな質問をされるとは思わず動揺してしまった。
「大半の男は好きだと思うよ!」
そういうと自分は雪花の手を掴み。
「まぁそんなことはどうでもいいから、ほら海行こ」
そう言いながら浜辺の方に走っていった。
海で遊び少し疲れたから、休憩がてらこの辺を散歩しようと言うことになった。
浜辺を雪花と、隣同士で歩いていると前から、大学生ぐらいの女性が、歩いてきた。
思わずその女性の胸元に目線が奪われてしまった。
女性が通り過ぎた後に右横から、もの凄く痛い視線が送られてきている気がする、そう思い右横を見てみると。
その視線の正体は雪花だった。
「今あの人の、その、む、胸見てたでしょ!」
そう言い放った雪花はこちらを睨みつけている。
「いや見てないよ、向こうのカップルイチャイチャしてんなーとか思ってたんだよ!」
苦しい言い訳だった、案の定雪花には通じなかった。
「いや絶対見てもん、やっぱりあなたも大きい方が好きなんだね」
拗ねてしまった。
「いや自分はそんな大きいの何て好きじゃないよ! むしろ雪花ぐらいの方がタイプと言うか何というか」
これで多少は機嫌を直してくれると、思っていたのだが、雪花には切り札があった。
雪花はそっぽを向いたまま。
「でもさっき、私が水着姿で出てきた時何にも反応してくれなかったじゃん」
それを言われるともう、降参するしかない。
両手を上げて。
「降参、あの女性の胸を見ていましたごめんなさい」
真剣に謝る。
「何をしたら許してもらえますか? 雪花さん」
誠心誠意謝った、それでも雪花はそっぽを向いたまま。
「そのぐらい自分で考えてよ、バカ」
やっぱり拗ねてる雪花も可愛いなーと思いながら、とりあえず今思ったことを。
「拗ねてる雪花も、可愛いよー!」
言葉にしてみたが、反応が無い、これじゃダメだったかと思い、雪花の顔を見ると。
頬を赤くし照れていた。
もう少し突けば、反応をしてくれそうだったが、この状態の雪花も可愛かったので、気づかないフリをしておく。
どうすればいいか機嫌を直してくれるか、他の方法を考えること。
そうだ、帰りの電車の中で言おうと思ってたけど、ここで言っちゃおう。
「雪花、今年も夏祭り行こ! そこで何か1つ奢るから、今日は機嫌なおしてよー」
少しカッコ悪かったが、これで雪花が機嫌を、直してくれるなら安いもんだ。
そう思いながら雪花の返答を待つ。
「2つ」
小声で聞こえなかったので、耳を近づける。
「2つ奢ってくれるなら許してあげてもいいよ」
2つー2つで許してもらえるならうん、払おう。
「うんいいよ! 2つね、じゃあこれで?」
「うん、しょうがないから許してあげる」
やっと雪花がこっちを向いてくれた。
2人で少しの間、見つめあってから、また浜辺を歩き出した。
それから、海で遊び海を出て帰りの電車に乗った。
「今日は楽しかったね!」
雪花は満面の笑みで喋り出した。
「そうだね、一昨年よりも楽しかった」
「来年も行こうよ海! その時はもっと雪花を楽しませるから」
すると雪花は少し照れくさそうに。
「そうだね、来年も行こう海」
「それでさ提案なんだけど」
「うん?」
と雪花に聞き返す。
「ら、来年はさ泊まりがけで行かない?」
少し驚いたが、すぐさま聞き返す。
「うん、別にいいけど何で?」
そう聞くと雪花の顔は赤く染まっていた。
もの凄く照れくさいのか、ゆっくり自分の耳元に口を近づけてきた。
そして耳元で囁きかけてくる。
「あの海の近くの旅館がね凄く良さげだったの、料理も美味しそうだったり、部屋も綺麗だったし、それにね、その旅館の温泉ね、混浴なんだって」
言い終わると雪花は、すぐさま自分の耳元から遠ざかる。
それを聞いて自分も顔が熱くなる。
「まぁ、まぁまた来年の話だしね! また後々考えようよ」
もの凄く慌てながら雪花に話しかける。
「そ、そうだね来年の話だしね! あーなんか話してたら、疲れちゃった、少し眠るね!」
そういうと、雪花は体を少しこちら側に寄せて目をつぶってしまった。
しばらく物思いにふけていると、肩にトンと、何かが乗っかった。
肩の方を見てみると、雪花の頭が乗っかっていた。
「すーすー」
と寝息を吐きながら熟睡している。
そんな状況に耐えられるわけがなく、雪花の顔を覗き込む。
決して雪花の寝顔が見たくてとかではない、そう決して。
そこには天使のような寝顔があった、やっぱり雪花は可愛いと再認識した瞬間だった。
そこから雪花を起こさず駅に着き、歩いて帰り家の前で別れその日は終わった。
「皆さんどうでした? 自分と雪花がもう一度海に行く話」
「つぎは夏祭りの話」
「それでは次の話でお会いしましょうさよならー」
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