第5話 中学生2

「皆さんこんにちは自分です」

「今回は夏祭りの、話をしたいと思います」

「それでは始まります楽しんでいってください」



「今日は楽しかったね!」

悠見雪花ゆうみ ゆきかは笑顔でそう言った。

「うんめちゃくちゃ楽しかった! だから来年は無理だけど、高校入ったらまた行こうな」

少し照れくさそうに言うと雪花が。

「ふふ」

微笑んでいた。

「何?」

雪花に聞き返すと。

「いややっぱりあなたに誘われると、嬉しーなって。うんいいよ高校に入ったらまた行こ」

やっぱり雪花は笑顔が似合うなーなどと、考えていると、自分の肩にトンと何かが乗っかった。

何かと思い見てみると、雪花の頭だった。

「すーすー」

寝ていた、今日はいっぱい遊んだし、疲れていたのだろう。

このまま寝かしといてやろうと、思い雪花の顔を覗き込むと、可愛い寝顔がそこにはあった。

やっぱり雪花可愛いなと思い、まぁしばらくこのままでいいやそう思うと自分も寝てしまった。

目を覚ますと自分たちに駅の、2駅手前まで来てしまっていた。

急いで雪花を起こす。

「おーい起きてーもう着いちゃうよ」

雪花の体を揺すりながら起こす、すると。

「うー、うーんありがとう起きる」

眠そうだが無理やり目を覚ます。

そのまま10分ほど電車に揺られていると目的地に着いた。

駅に着き自分たちの家に帰る途中雪花が。

「次は夏祭りだね、いっぱい食べ物食べて花火見て、今から楽しみ」

笑顔ではしゃぎながらこっちを向いている。

そんな姿を見ていると思わず顔が微笑んでしまう。

「うんそうだね、めいいっぱい楽しも!」

雪花が首を傾けながら? という顔をしている。

などと会話していると家に着いていた雪花が別れの挨拶で。

「じゃあ夏祭り楽しみにしとくね」

そう告げて家の中に入っていった。


それから数週間が過ぎ、夏祭り当日になった。

夏祭りは近所の神社で行われる、近所なので待ち合わせは家の前でいいかということになった。

待ち合わせ10分前に用意を、全て終わらせてある。

「まぁ少し早いけどもう出るか、雪花より早く待って驚かせたいし」

などと思いながら。

「いって来まーす」

挨拶し家のドアを開けると、雪花の姿があった。

「やっぱり雪花の方が早いなー」

と言いながら雪花の方を見ると、いつもとは違う姿の雪花が立っていた。

髪は団子状に纏められ、浴衣も着ている。

白い布にアサガオという、雪花っぽい柄だ。

前髪のサイド弄りながら自分の足元を見ながら。

「ど、どうかな? 今回は海の時みたいな感想じゃなくて、ちゃんといってほしいんですけど」

これはまた照れて言うと、いじられるやつだ、そう察した自分は。

「似合ってると思うよ!」

自身ありげに言った。

ただこれも気に入らなかったようで、眼鏡の奥から鋭く尖った眼が睨んでいた。

「もういい! あなたに感想はもう、求めませーん」

そっぽを向きながら歩き出してしまった。

「ちょっとー何が正解だったのか、教えてよ」

追いかけながら答えを求めた。

「嫌だ」

「えーなんでー」

「自分で気付け鈍感が」

小声で言われ、鈍感以外の部分は聞き取れなかった。

「鈍感? 誰が?」

それを聞いた雪花は頬真っ赤に染め。

「もういい! 私先行く」

そう言うと、歩く速度を上げてしまった。

またもや、追いかけながら。

「わかったよー何か奢るから許して」

そう言いながら追いかける、すると雪花は立ち止まった。

「本当に?」

ニヤニヤしながら聞いてくる。

「うん本当に」

「やったー! じゃあね、たこ焼きと、わたあめと⋯⋯」

「ちょっと待って多くない?」

慌てながら聞く

「うーんじゃあ、たこ焼きとわたあめと⋯⋯もう一個は着いたら言うね」

わたあめのあと何で雪花、照れたんだ? 疑問に思いながらも返事をする。

「わかったよ、たこ焼きとわたあめ、じゃあこれで許してくれる?」

「しょうがないなー今回は許してあげる、じゃあ早く行こ、花火始まっちゃうよ」

そう言いながら歩き出す雪花を追いかける。


夏祭りの会場に着くと、まず雪花に奢る食べ物の屋台を探した。

歩き始めてすぐたこ焼きの屋台を見つけた。

その後わたあめの屋台も見つけられ、とりあえずどっか座って食べようと、言うことになった。

2人隣同士で座れそうな椅子を見つけ座った。

座りながらわたあめとたこ焼きを2つ持ちながら、持ちずらそうにしていた。

「わたあめ持ってるからとりあえず、たこ焼き食べちゃいなよ」

そう言うと雪花は笑顔でわたあめを渡してきた。

嬉しそうにたこ焼きを食べている雪花を、見ていると雪花が。

「食べたい? たこ焼き食べたい?」

そう言いながらこっちを向いた。

それに自分は。

「くれるなら」

照れながら言ってしまった。

雪花はニヤニヤしながら。

「しょうがないなー」

そう言いながら、つまようじにたこ焼きを刺し、自分の口元にたこ焼きを近づけてきた。

「何? いいよ自分で取れるよ!」

それを聴きながらも雪花は近づけてくる。

「奢ってもらったし、そのお礼としてアーンしてあげる、男の子はこういうのがすきなんでしょ?」

いやまぁ好きだが。

「こういうのは、付き合ってる男女がするものであって」

そんなことを言ってると、雪花の眼がまたもや睨んでいる。

「もうそういうことはいいから、ささっと食べて!」

こうなった雪花を止めることは自分には無理だ。

「わかったよ」

そう言いながら、つまようじに刺さってるたこ焼きを、口に入れた。

何でかわからないが他のたこ焼きより美味しく感じられた。

「うん美味しい!」

笑顔でそう言いながら雪花の、顔を見ると。

頬を赤らめながら、俯いている。

え! 何で? と思いながら聞いてみる。

「おーい雪花何で照れてるの?」

「いやこれよくよく考えたら、間接キスだよね?」

「まぁそうなるのかな? でもそれがわかってて、強要したんじゃないの?」

そう聞くとさっきの姿勢のまま、黙っている。

あ、これは気付いてなかったやつだ。

ここでもっと突いてもいいが、花火の時間も迫っているから今回はやめておく。

「もう花火始まっちゃうよ、早く見える場所行こ」

そう言いながら雪花の手を引っ張る。

「う、うん」

そう返事した、雪花は俯きながら引っ張られる。


花火が見える場所には5分とかからず到着した。

到着したので、手を離そうとすると雪花が照れくさそうに喋り出した。

「祭りに来る途中もう1個だけお願いあるって言ったよね?」

「うん言ってたね」

「それなんだけど、今日これから、家に帰るまで手、繋いでて欲しい」

頬赤く染め、前髪のサイドを弄りながら、そう言ってきた。

それに自分は軽い気持ちで。

「うん? それだけ?」

聞き返した。それに対して雪花は。

「うん、それだけ」

そんなやりとりを、している間に花火が始まりそうだった。

自分はそっと雪花の手のひらを掴み、手を繋いだ。


花火も終わり、祭りの会場から家に帰る途中も手を繋いでいる。

手を繋いでいて欲しいと言われた時は、何も思わなかったのに、祭りの会場からでたところぐらいから、雪花に聞こえるんじゃないかって、思うぐらい心臓がバクバク鳴っている。

心落ち着かせるために周りを見渡した。

すると、当たり前だが、雪花の顔があった、その顔は普段より、数段可愛く見えた。

何でだいつもと変わらないはずそりゃ、髪型とか服は違うけど、それも今日何十回と見て慣れてるはず。

もうわけがわからない、考えてもしょうがない、もうちょっとで、家着くしそれまでなるべく、雪花には悟られないようにしよう。

そう心に決め歩いた、するといつのまにか家に着いていた。

ここで雪花と別れればこのドキドキも治るはず。

「家着いたし手離そっか」

大丈夫雪花には悟らてないはず。

「うんそうだね、今日は楽しかったよ!」

嬉しそうに言いながら雪花は、離れていく。

最後にと言わんばかりに、ニヤニヤしながら。

「心臓バクバク言ってるの、聞こえてたよー! それに私に悟られないようにって、頑張ってるのも、可愛かったよ」

雪花はそう言い残し家に帰って行った。

「マジか、知られてたのか」

照れながら家の中に入っていく。

それにしてもあのドキドキは何だったのだろう。

今までに感じたことがない気持ちだった。



「皆さんどうでした? 自分が雪花に対する思いに気づき始める話」

「次はクリスマス、そして⋯⋯」

「それでは次の話でお会いしましょうさようならー」

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