第4話 中学生1

「皆さんこんにちは自分です」

「今回は中学校の頃の話をしたいと思います」

「それでは始まります楽しんでいってください」



中学生の頃の記憶は結構鮮明に覚えている。

あのプールの事故から半年とちょっと経った、自分と悠見 雪花は中学生になった。

事故以降意思の現れなのか、雪花は少しだけ髪を伸ばし始めた。

今は肩にギリギリつくぐらいの長さで、とどめているらしい。

視力も落ちてきたらしく中学に入ってからは眼鏡もかけはじめていた。

そんな見た目にも変化があった雪花は気持ちの方にも変化あったらしく。

毎朝雪花が起こしにくることはなくなり、自分で起き家の前で、集合というのが2人の中での、ルールになっている。

「行ってきまーす」

親にそう挨拶し玄関をでた。

玄関の横には耳に髪をかけながら本を読んでいる、雪花の姿があった。

中学に入ってからは、毎日こんな感じだ。

自分が玄関から出ると決まって、先に来ている雪花が本を読んでいる、こんな光景が自分はとても幸せだった。

そんなことを考えていると雪花喋り出した。

「もう待たせてるんだから、そんなとこすったってないで早く行くよ」

雪花はいつもの通学路の方向に歩き出した。

それを追いかけるように自分も歩き出した。

雪花に追いついた所であることを問いかける。

「今日いつもより10分ぐらい早く出てつもりだったんだけど、雪花いつもどのぐらい前に自分の家の前で待ってるの?」

単純に疑問だった、1回ぐらい雪花の家の前で待っといてやろうと思っても、必ず雪花は自分の家の前で本読んでいる。

そんなことを思った後、雪花の顔を見ると、顔を俯きながら少し頬を赤く染めている。

「おーい雪花さん大丈夫?」

問いかけてみると、雪花が喋り出した。

「大体このぐらいに行けば先に待てるだろうなーって、想像してそれがたまたま当たってるだけ!」

なんとなくだがこれが嘘なのはわかっている。

やはり何年も一緒にいると嘘の1つや2つは見抜けるようになるのだ。

ただ照れている雪花は可愛いのでこのまま放置しておく。

「まぁもういいやこの話題は、それより昨日の課題写させて!」

雪花にそう聞くと。

「もういいやってもう、勝手なんだから⋯⋯」

小声でなんか言ったような気がしたが気にしないで、写させてと頼み込む。

「いいよ別に写すくらい、ただたまには自分でやる努力もしてね」

笑顔いいよと言ってくれる、この笑顔を見るとやらなくちゃと思うと同時に、笑顔を見るためにわざとやらなくても、いいかなと思えてくる。

こんなことを考えてる内に雪花が走りながら。

「早く行かないと写す時間なくなっちゃうよ」

「そうだ早く行かないと、やばい」

慌てながら雪花を追いかけながら走って行く。



それから1年が過ぎた6月の通学路で雪花が突然。

「来年から私たち受験生だよね?」

「うんそうだね」

「受験生になるとなかなか遊ぶ時間取れなくなるよね?」

「うん」

なんで当たり前のこと言ってんだ? と思いながら返事をする。

「もう察し悪いな」

雪花が少し頬を赤らめながら小声で何かを言ったが聞き取れなかった。

「だーかーら! 遊ぶ時間取れなくなるから今年の内にいっぱい遊ぼって言ってるの!」

さっきの小声とは真反対の大声言われた。

「なんだよそれならそうと、遠回しに言わず直球で言ってくれればいいのに」

雪花にそう問いかけると。

「あんたの方から誘って欲しかったの! 私の方から誘うとなんか違うきして」

あーなるほどそういうことか、納得がいった。

それなら遊ぶ場所くらいは、こっちから提案しないとな。

「とりあえず近い日にちだと、夏休み入ってから、海とか夏祭りとかどう?」

これで少しでも機嫌が治ってくれたらと提案する。

「どっちも」

小声で聞き取れず思わず。

「なんて?」

聞き返してしまった。

「どっちもって言ったの! ちゃんと聞いててよ!」

「わかったよ、どっちもね、予定空けといてよ」

「うんわかった、そっちも予定空けといてよ!」

笑顔だった、この笑顔を守れてると実感できて嬉しかった。


それから1ヶ月が過ぎ夏休みに入った。

そして今日は約束していた海に行く日だ。

雪花と一緒に電車に乗り、2時間ほどかけて海についた。

更衣室の前で別れ、更衣室を出た所で集合ということになった。

雪花はどんなの着てくるのか想像していると、後ろから雪花の声が聞こえた。

「あっいたいた、おーい」

後ろを向くと。

髪や眼鏡などはいつもと変わらないが、パーカー着ているが、パーカーのチャックは空いている。

水着の種類はこれはビキニというやつだろうか?水着の名称はよくわからないが、まぁ可愛いので名前なんてどうでも良くなった。

「どうかな? 感想が欲しいんですけど」

頬を赤らめながら、手を体を隠すように体の前に置きながら聞いてきた。

思わず可愛いと思ってしまった。

ただそんな本心が言えるわけもなく、少し照れながら。

「ま、まぁ似合ってんじゃない 自分はそういうの良くわかんないけど」

「何? その感想、まぁあなたの照れ顔久しぶりに見れたから、気にしないでおくよ」

雪花は少しバカにしながら笑顔でそう言った。

「は、はー照れてないし、雪花の前で照れたことなんて、生まれてから1回もないし」

これも照れながら言った。

「いやいやあの時も、あの時も照れて気がするなー」

もの凄く嬉しそうにそう言った。

今回も照れながら。

「いやあの時も照れてはないからね!」

こんなやりとりをしながら海に向かって行った。

自分は雪花に対して恋心を抱いているはこの時この時気付いていなかった。



「皆さんどうでした? 中学校1、自分と雪花が対等になりそして対等以上の関係になる間の話」

「そして次は中学校2、自分と雪花が対等以上の関係になる⋯⋯」

「それでは次の話でお会いしましょうさようならー」

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