第3話 小学生
《ルビを入力…》「皆さんこんにちは自分です。」
「今回は小学校の頃の話をしたいと思います」
「それでは始まります楽しんでいってください」
この頃の記憶はそこそこ覚えている。
山での事故の後1年後自分と雪花は小学校に入学した。
小学生になっても雪花を守れるだろうと思っていた。
ただそんなことはなく小学生になると雪花は精神的にも肉体的にも強くなっていた。
そう守られる立場になっていたのは自分だった。
「ねぇ起きてよー! 一緒に学校行こ」
こんな感じで毎朝起こしにくるのが、あの寂しがり屋で照れ屋の
あの山の事故の時、雪花は自分も頑張らないともっとしっかりしなくちゃと思ったらしい。
「わかってるおきるよ」
そう言いながらゆっくり体を起こす。
幼稚園の頃は髪を伸ばし女の子ぽかったのに今は、
自分と同じぐらいの髪の長さになっている。
そんな雪花を見ていると守るって何? 守られてる方が楽じゃない? と思ってしまう。
その結果1年前とは立場が逆になっている。
小1小2と何事もなくそのままの生活が、続いた。
小3になってからしばらくすると学年内で男子は男子女子は女子で、一緒にいるという風潮が出来始めた。
自分と雪花が一緒に居るのをクラスが標的にしないわけがなく、自分はクラスの男子に。
「お前何であいつとずっと一緒に居るの? しかもお前あいつに守られてるっぽいじゃん! マジで気持ち悪いはー、もう近づかないで」
この罵倒のせいで自分は号泣した。
それを見てクラスの人たちは。
「泣いてるーキモー」
と言われてるのが微かに聞こえた。
女子も女子で色々と酷かった。
雪花に向かって
「あんたあいつのこと好きなの? あいつのどこがいいの? マジキモいんだけど」
とか他にも色々言われていた。
言われてことに対して雪花は怒ってくれた。
「あいつは私のことを助けてくれた。」
涙を垂らしながら怒っていた、頬を赤らめながら、眼で他の女子を睨みながら。
他の女子は一斉に教室から出ていった。
教室に2人だけになった。そっとゆっくり雪花が近づいてくる。
雪花が肩に優しくトントンと叩いてながら。
「大丈夫気にしなくていいよ。どうせ学年が変わればこんな変な風潮もどっか行くから」
優しく叩いてくれている。
ただ自分はその叩いてくれている手を強くはじき返してしまった。
「もういいよ、関わらないでくれ」
そう言って自分は教室から出ていってしまった。
それから1年が過ぎ見事にあんなくだらない、風潮はどっかに行ってしまった。
ただ雪花とはあの日以降まともに話していない、最低限の会話だけして、もちろん登校も一緒にはしていない。
そんな生活が2年続き小6になった今も会話は最低限の物しかしていない。
小6夏水泳の授業があった。水泳で雪花は優秀な成績だった。そのせいもあって先生からは信頼されていた。
先生が泳いでいるのが、悠見だけならと、少し席を外した、その時だった⋯⋯雪花が足をつって溺れている。先生はいない、他のクラスの奴らは、どうしよ、どうしよと慌てていて誰も助けようとしない。
「もうっクソ」
勢いよく水の中へ飛び込んだ、泳いだ一心不乱に泳いだ――雪花がいた、そこからは記憶が飛んでいる。
目を開けるとそこに雪花の顔があった。
「起きてよ! ねぇ起きてよ」
泣きながら叫んでいた。
「あなたが死んだら私⋯⋯」
泣きながら体を揺すっている、泣きながら叫んでいる。
ああーやっぱり雪花に守られてるだけじゃダメだな、自分も雪花を守れるようにならなきゃ。
雪花の泣き顔なんて見たくないよ。
「大丈夫生きてるよ、だから泣くのやめて、雪花の泣き顔なんて見たくないよ」
笑顔で言えた、これからまた、前みたいに仲良くなれるかな。
そう思いながらゆっくりと起き上がる。雪花の顔を見ると泣き顔じゃなく笑顔になっていた。
その翌朝からまた一緒に登校し始めた。
「皆さんどうでした?やっぱり雪花を守れるのは自分だけだともう一度決意する話」
「次の話は2人が中学生になった時の話です。小学生で2人は守られ守られる言わば対等な関係になりました。対等になった2人は次はどこへ向かうのでしょう?」
「それでは次の話お会いしましょうさようならー」
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