第5話 アホ淫魔、メイドデビュー!#1
朝。俺が目覚めると、全裸のルフィーナが俺の息子をくわえていた。
「ぎゃあああああああ!」
「きゃあああああああ!」
慌てて飛び起きる! 何故だ、何故この女がここにいる!
「ちょっと、急に大きな声出さないでよ! 噛み切るところだったじゃない!」
噛み切るところだったのかよ、危ねぇな!
「お、お前何でここにいるんだよ!?」
「何でって、あなたがここにいていいって言ったんじゃない!」
……そうだった。すっかり忘れていた。
「それでお前は何してんの?」
「パイ○リフ○ラしてるの」
何言ってんのか分かんねぇよ。
「朝フ○ラとも言うわね」
穴埋めクイズかこれは。
「つか、お前は別の部屋で寝ろって言っただろ」
昨日、こいつには母親の部屋で寝るように言っておいた。
「ちゃんとそこで寝たわよ。朝になってあなたを起こしに来たらなんと! チ○ポが先に起きているじゃない! このままじゃあなたも苦しいだろうし、寝かせてあげようって。それもメイドの務めでしょう?」
ほっとけ。あとそんなメイドはいない。
「こんなチ○ポを見て何もしないなんてサキュバスの恥よ!」
「開き直るな! さっさと離れて飯作ってくれ」
「それならもうできてるわ」
これは意外。てっきり忘れてるか、面倒くさがるもんだと思っていたが。さっさと食べて学校に行こう。
ベッドを出た俺は、すぐにルフィーナに引き留められた。
「こっちがまだ起きたままよ」
「それはもういいわ!」
トースト。目玉焼き。サラダ。
基本的な朝食が2組、ダイニングのテーブルに並んでいた。見た目もよく、盛り付けもきれいだ。ただの色情狂だと思っていたが見直した。こんなことを言ったら調子に乗りそうなので黙っておくが。
「さて、お前の魔力を回復させなきゃいけないわけだが」
「あなたとセックスすれば解決するわよ」
服を着たルフィーナが即答する。話聞いてたか。
「何故したくないの? 私じゃ興奮しない――あなた、ロリコンね!」
「違うわ!」
「私はどんなロリにも変身できるけれど、それには魔力が必要なの」
「だから違うわ! ……そういうのは恋人同士でやるもんだろ」
遊びでやるものではない気がする。
「童貞ねぇ」
「悪いかよ」
ルフィーナは妖しい笑みを浮かべ、否定した。
「むしろ最高よぉ。あなたみたいな人ほど堕としがいがあるもの」
少しばかり背筋がぞくりとする。何だかんだ言って、こいつはやっぱり悪魔なのだ。
「ほかに方法は?」
「魔界の食べ物にも魔力は含まれてるわ。それを食べれば回復するけど、この世界にはないわよ?」
「似たようなものを探して、魔界の料理を再現しろ」
もしかしたら魔力が生まれるかもしれない。
「面倒くさいわ。やっぱりセックスが一番だと思うの」
「やらねぇっつってんだろ! っていうか、他の奴からもらえよ」
あくまでこいつが欲しいのは精液であり、俺限定の物ではない。
「最近はやりづらいのよ。不法侵入だの強制わいせつだのって、警察がうるさいの」
淫魔にとっては世知辛い世の中のようだ。俺も実際に通報したしな。
「それに言ったでしょう? あなたみたいな人ほど堕としがいがあるって。しかもチ○ポは大きいし、こんな獲も――ゲフンゲフン、男を逃がすわけにはいかないわ。目を離したら他の子に取られちゃうかも」
「今獲物って言ったよな?」
「言ってないわ。そんなことよりセックスしましょうセックス!」
「朝っぱらからセックスセックスうるせぇよ! っと、時間やべぇな」
このままじゃ遅刻だ。サラダを口に詰め込み、制服に着替える。
「家事を頼む。洗濯機とかの使い方は分かるか?」
「実家のと大して変わらないから平気よ」
魔界の生活もこの世界とほとんど変わらないんだったな。
「それから、その服どうにかしろ」
俺はルフィーナが纏う、もはや布きれと言える露出の激しい服を示した。
「1万やるからこれで好きなの買え」
「あら。ありがとう」
靴を履いていると、ルフィーナがいきなり接近してきた。何の真似だ。
「何もしないわよ」
警戒する俺にルフィーナは苦笑し、曲がっていた俺のネクタイを直す。
「いってらっしゃいませ、ご主人さま」
本物のメイドと錯覚するくらい丁寧なお辞儀をした彼女に見送られ、俺はチャリにまたがった。
「で、例の痴女の写真は?」
放課後になって、江口は俺にそう訊いた。
その後の一件ですっかり忘れてたな。
「これだ」
スマホの画面を見せると、江口の目が一瞬で見開かれた。
「何だこのエロいポーズはっ!? どうやって撮った!」
「写真撮らせろって言ったら、勝手にしてくれた」
「クソッ、やっぱ部活なんてバックレてでも行きゃよかった……っ!」
なんて頭の悪い会話をしているのだろう。
平静さを取り戻した江口が思い出したように口を開く。
「……そういや、この痴女に関する最新情報だ。5組の白山が昨日、この女がチャリの後ろに乗ってるところを見かけたらしい」
げっ、そのチャリを漕いでいたのは俺だ。橋か、俺の家に向かう途中で見られたんだろう。とにかく誤魔化さねぇと。バレたら何されるか分かったもんじゃない。
「ってことは漕いでた奴がいたのか?」
何も知らない風を装い尋ねる。
「あぁ、聞いて驚くな。そいつはこの学校の男子生徒だ。制服は見たらしいが、顔は分からねぇ。クソッタレ、美味しい思いしやがって。どこのどいつだ、探し出してぶっ殺してやる」
怒りのせいか、物騒なことを口走る江口。それが俺だと知れたら――いや、考えるのはよそう。
「そういや――」
「川崎君、来て」
ボロを出さぬうちに話題を変えようとする俺を、廊下から顔を出したクレア先生が呼んだ。
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