~The end and every day of continuation(終わりと続きの日々)~
特に変わったことの無い日々。日常が戻ってきた。アメリア司書官長のご贔屓(ひいき)に預かることで、セシリアは司書官になれるはずもなく、ベレンセはいつも通り、変わり者呼ばわりされていた。でも、一つだけ確かに言えるのは、彼らは愛していたと言うこと。「エルノ」という少年の存在を。
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――「Ⅷ(セイシャ)の国」・王都ケハー
「アメリアさん、いつになったら図書館司書の試験、通してくれるんですか?」
「兄のお墨付きとは言え、及第点にもならぬセシリアの勉強では、まだまだだな。いっそのこと、兄の助手として心理学者の道に進んだらどうだ?」
「それも悪くないですねぇ」
「まったく、うちの兄も困ったものだ。こんな美女を側に置きながら、何食わぬ顔をしてオレンジと向き合っている。セシリア、いっそのこと寝取ったらどうだ?」
「心理学用語にそんなこと書いてありましたっけ?」
「私の心理学だ。いや、……私のセオリーだ。今の旦那もこのようにしてだな……」
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――「ⅩⅡ(ザイシェ)の国」
「また戻ってきたのか、ニナ。役目は果たしたのかい?」
「及第点。私の可愛い弟と妹を、『創造主様のところに』送ってしまったのだから」
「満点だよ、これ以上自分を責めるな。きっと彼らの生き様は、誰かが『戦乙女カジワラのように』書き綴ってくれるさ」
何年か先。いや、何十年か先に、ある大きな図書館で「戦乙女カジワラの伝承」に並ぶ「創造主の子・エルノ」と言う文献を目にするだろう。その隣には「ユーリ=アンゾルゲの著書」があるかも知れない。その時はそっと思い出して欲しい。愛すべき彼らが葛藤し、苦悩して生きて生き抜いてきたことを。それを書き綴って、誰かが残したから今があるんだと言うことを。
「この世界には」きっと山のように足りないこともあるのかも知れない。けれど、知り尽くせないことを知っていくことも、きっとあるのかも知れない。
――Fin.
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