失無症

②

1月1日。成人式は無事に終わり中学のクラスで同窓会となった。久しぶりに集まった元クラスメイトたちは、大人びた顔たち。

『ほんと久しぶりだな。卒業式以来連絡とってなかったのに忘れないもんだな』

『そりゃ、クラス変わってからずっと一緒にいたからな』

『それもそうか。懐かしいな、もう5年も前だなんて。じゃあ、再会の印に連絡先、交換しようぜ』

そんなたわいもない会話を中学生時代つるんでいたタケルとした覚えはある。成人が19歳になったのでみんな酒を飲みながら懐かしい話に花を咲かせていた。温かい時間だった。

いつもより気持ちよく酔うことができた帰り道は寒い。澄んだ空気に白い息がはっきり、目に見えた。やらなければならない大学の課題が山ほどある。溜めてしまった自分が悪いのだが、新年早々やる気にはならない。三が日が終わってから手をつけよう…そんなことを考えながら寒さに耐えるように体を縮こませながら帰った。